現(xiàn)在、國(guó)務(wù)院は主に以下の立法権を行使している。
（一）
行政法規(guī)を制定、変更する
これは國(guó)務(wù)院が主に、かつ経常的に行使する立法権で、國(guó)務(wù)院が憲法と立法法の直接の規(guī)定に基づいて関連の行政事項(xiàng)を制定し、法規(guī)を変更する権限である。現(xiàn)行の憲法第89條に規(guī)定された國(guó)務(wù)院が行使する18項(xiàng)の職権の中で、第１項(xiàng)の職権は憲法と法律に基づいて、行政法規(guī)を制定する。立法法の第56條も同様にこの職権を規(guī)定している。
國(guó)務(wù)院の行政法規(guī)の立法権は非常に重要な地位を持っている。現(xiàn)行の中國(guó)立法権限の區(qū)分システムで疎通の役割を果たしている。行政法規(guī)は法的形式あるいは淵源の中で憲法や法律の下、一般の地方的法規(guī)の上の位置に置かれる。その効果は全國(guó)に及ぶものである。行政法規(guī)の立法権を行使するのは、憲法と法律の貫徹、実施を基本的な目的とするものである。行政法規(guī)があれば、憲法と法の原則、精髄が具體化され、効果的に実現(xiàn)される。行政法規(guī)は地方的法規(guī)が憲法、法律と結(jié)びつく重要な紐帯である。地方的法規(guī)の制定は行政法規(guī)と抵觸するものであってはならない。これは憲法と法律の実施をさらに保証するものでもある。一方、行政法規(guī)が調(diào)整した社會(huì)関係と規(guī)定した事項(xiàng)は全人代とその常務(wù)委員會(huì)の法律が調(diào)整した社會(huì)関係、規(guī)定した事項(xiàng)より広範(fàn)なもので、具體的なものである。國(guó)と社會(huì)生活の中の経済、政治、教育、科學(xué)、文化、スポーツおよびその他の面の社會(huì)関係、事項(xiàng)は必ず憲法と法律によって調(diào)整されるものでないかぎり、行政法規(guī)が調(diào)整できる。ここ數(shù)年來、國(guó)務(wù)院が制定した行政法規(guī)は全人代およびその常務(wù)委員會(huì)が制定した法律の數(shù)倍である。中國(guó)の社會(huì)で重要な役割を発揮している。
実際には多くの法律は同法の実施細(xì)則が國(guó)務(wù)院に制定されると規(guī)定している。國(guó)務(wù)院の立法権を研究する際、法律の実施細(xì)則権を制定?変更することは行政法規(guī)の立法権に屬するか、それとも立法権の授権範(fàn)囲に屬するか、また準(zhǔn)法律立法権の範(fàn)疇に屬するかをはっきりさせるべきである。法律の実施細(xì)則を行政法規(guī)と授権法範(fàn)疇に入れると、次のことを説明しがたい。①憲法はすでに國(guó)務(wù)院に行政法規(guī)の立法権を授権しているが、行政法規(guī)を制定することはさらに具體的な法律授権を必要としない。②立法を授権することは権限のある機(jī)関が立法権を授権することによって生まれたもので、ある法律に基づいて規(guī)定したのではない。また法律実施細(xì)則は直接法律に従屬し、法律と直接関連する法律の集まりの構(gòu)成部分である。このため、法律実施細(xì)則を制定し、変更する権限を準(zhǔn)法律立法権に見立てることは有益な考え方と言える。現(xiàn)在この面の制度が充実されない場(chǎng)合、この権限を行政法規(guī)立法権の特殊な形、法律実施細(xì)則を行政法規(guī)の特殊の形と見て取るほうがよい。
（二）
全人代およびその常務(wù)委員會(huì)に提出した法律案
國(guó)務(wù)院は全人代およびその常務(wù)委員會(huì)に法律案を提出する権限がある。法律提案権は立法システムで欠かせない構(gòu)成部分であり、國(guó)務(wù)院立法権の重要な構(gòu)成部分でもある。現(xiàn)在多くの國(guó)には次のような現(xiàn)象が普通的存在している。國(guó)の立法機(jī)関が立法の過程で法律提案権を行使するものがもっとも多く、提出した法律案が立法機(jī)関でよく討議され、可決されたものは立法機(jī)関およびそのメンバーが提出したものではなく、政府、政府首脳および國(guó)家元首兼政府首脳である大統(tǒng)領(lǐng)が提出したものである。かれらは立法活動(dòng)においてもっとも主要な役割を果たしている。
中國(guó)では、國(guó)務(wù)院の法律提案における役割も特別重要である。現(xiàn)行の憲法、組織法、立法法は多くの機(jī)関やそのメンバーが全人代およびその常務(wù)委員會(huì)に提案することができると規(guī)定しているが、実踐のなかでは、法律案はほとんど全人代と國(guó)務(wù)院に提出されているのである。1979年以來、國(guó)務(wù)院は新しい法律を制定し、行政法規(guī)を改正?充実することを法律および現(xiàn)行の法律を改正?廃棄することに変えた。全人代およびその常務(wù)委員會(huì)に法律案をたくさん提出した。全人代およびその常務(wù)委員會(huì)の可決した法律のうち、國(guó)務(wù)院の提案は約70％を占めている。
（三） 授権による立法
國(guó)務(wù)院は全人代およびその常務(wù)委員會(huì)が授権した立法権を行使することができる。刑事法律制度、公民の基本的政治権利、人身自由の権利、司法制度などを除いて、全人代およびその常務(wù)委員會(huì)が必要に応じて法律に規(guī)定される事項(xiàng)を國(guó)務(wù)院に授権し、行政法規(guī)を制定することを決定できる。國(guó)務(wù)院が授権した立法の権限は國(guó)務(wù)院の他の立法権と比べて特殊性があり、後者は國(guó)務(wù)院の一般立法権あるいは普通立法権と呼んでもよい。この両者の違いは次の通り。①授権立法権は國(guó)の立法機(jī)関に授権されたもので、國(guó)の立法権の派生物である。一般立法権は普通直接憲法の関連規(guī)定に基づいて生まれたもので、國(guó)の行政政権の範(fàn)疇に屬する。②授権立法権は日付け、事項(xiàng)と他の面で厳格に制限されており、一般立法権は憲法に基づいて生まれた権限として、憲法の発効期にずっと存在し、相対的獨(dú)立性を持っている。③授権立法権は國(guó)の立法機(jī)関が授権代行の立法権であり、國(guó)務(wù)院の一般立法権より強(qiáng)い効力をもつ。後者は直接憲法に基づいて生まれたものだが、立法機(jī)関の立法権より効力が弱い。
（四） ある範(fàn)囲の立法監(jiān)督
國(guó)務(wù)院はある範(fàn)囲での立法監(jiān)督権を持っている。國(guó)務(wù)院はその所屬部門が公布した不適切な命令と指示を改正し、廃棄する権限がある。地方の各クラスの國(guó)家行政機(jī)関の公布した不適切な決定と命令を改正し、廃棄する権限がある。不適切な部門規(guī)定と地方の政府規(guī)定を改正し、廃棄する権限がある。地方的法規(guī)の制定は憲法、法律、行政法規(guī)と抵觸しないことを前提とする。部門の規(guī)定は法律や國(guó)務(wù)院の行政法規(guī)、規(guī)定、命令を執(zhí)行する事項(xiàng)に屬すべきである。地方的規(guī)則が規(guī)定した主要な事項(xiàng)は法律、行政法規(guī)、地方的法規(guī)を執(zhí)行する事項(xiàng)に屬すべきである。部門の規(guī)則、部門規(guī)則と地方的規(guī)則の間に同一の事項(xiàng)に対して規(guī)則の食い違いがある場(chǎng)合、國(guó)務(wù)院によって決定される。地方的法規(guī)、自治條例、単獨(dú)條例、部門規(guī)則と地方的規(guī)則はいずれも國(guó)務(wù)院に報(bào)告すべきである。ここで言う改正、廃棄、執(zhí)行、決定、報(bào)告は國(guó)務(wù)院が関連の立法作業(yè)を監(jiān)督する権限がある表われである。國(guó)務(wù)院の國(guó)家機(jī)構(gòu)システムでの地位、國(guó)務(wù)院が中國(guó)における立法システムでの地位は國(guó)務(wù)院の立法監(jiān)督権が単一制の中國(guó)で法制の統(tǒng)一、とくに立法の統(tǒng)一を守るために重要な意義を持つことを決めるものである。
國(guó)務(wù)院の立法権は現(xiàn)行の中國(guó)立法権限區(qū)分システムで非常に重要な地位を占めている。この狀況を理解することは、中國(guó)政府の法整備をよりよいものにし、國(guó)の法整備を進(jìn)めていく重要な一環(huán)である。
