安徽省広徳県の楊灘郷で1月末、鳥インフルエンザの疑い例が発見された。肖立山さんは発生の中心地で養(yǎng)鶏業(yè)を営んでおり、飼育した5000羽を超える鶏は全て処分された。
１月27日に初めて鳥インフルエンザが報告されて以降、発生地また非発生地の政府は緊急対応に乗り出した。
発生地は感染拡大を防止
鶏がすっかり姿を消した養(yǎng)鶏場を前に、肖さんはやり切れない思いだ。鳥インフルエンザによる直接損失額は15萬元（１元は約13萬円）と、地元で最も深刻。
「ようやく28週目に入ったばかりで鶏卵のピークを迎え、タマゴの販売額は１日、350萬元にもなっていた」。肖さんは昨年、７萬元の融資を受けて養(yǎng)鶏を始めた。今年は大きな収益を期待していたが、それも空に帰してしまった。
広徳県は江蘇と浙江、安徽３省の省境に位置し、家禽の飼育が盛んなところ。疫病発生の報告を受けて、広徳県政府は動物防疫法に基づいて防止策を講じた。１月29日、発生地點(diǎn)の周囲３キロ以內(nèi)を緊急封鎖。県政府は公安、道路、農(nóng)業(yè)機(jī)関や楊灘郷政府の職員を動員して、発生地唯一の出入り口に消毒?検査所を設(shè)置し、通過車両を１臺ずつ検査して消毒すると共に、家禽取引市場を封鎖し、発生地內(nèi)の家禽や製品の流出を禁止するなど、感染拡大の防止に努めた。30日、県は20の処分作業(yè)班を結(jié)成し、周囲３キロ以內(nèi)の全ての家禽を國の防疫規(guī)定に基づき焼卻処分して土壌に埋め、消毒を徹底して無害化処理を厳格に実施。同時に衛(wèi)生防護(hù)服や手袋、マスクなどを調(diào)達(dá)して楊灘郷に送ると共に、防疫擔(dān)當(dāng)者は家禽と接した人を?qū)澫螭耍比眨不亍Ⅲw溫測定を行い、発生地區(qū)?地點(diǎn)を何度も消毒し、人への感染防止に盡力した。
現(xiàn)在、楊灘郷には鶏やアヒル、ガチョウ、ハトは１羽も見當(dāng)たらない。郷共産黨委員會の莫和義書記は「疫病が広がることはなくなった」と強(qiáng)調(diào)した。
郷政府は３萬羽の家禽を処分するため２カ所に埋立地を設(shè)けた。場所選定に當(dāng)たっては、農(nóng)民に影響が出ないようにするため農(nóng)家から遠(yuǎn)く離れていること、交通が至便で作業(yè)がし易いことなどを考慮した。第１の埋め地は荒地に設(shè)置。「鳥インフルエンザ発生地區(qū)のため立ち入り厳禁」と、すぐ目に止まるよう赤字で書かれた看板が立っている。広さは約400平方メートル、深さは４メートル近く。発生地區(qū)で集めた家禽は麻袋に入れた後、麻袋に消毒液をかけて焼卻し、再度消毒して埋める作業(yè)を行った。ここで処分された家禽は１萬羽余り。
國の養(yǎng)鶏家への補(bǔ)償もほぼ終了している。楊灘郷では全農(nóng)民に合計35萬元の補(bǔ)償金が渡された。実際の損失額を完全に補(bǔ)うことはできないが、農(nóng)民は今後の飼育に期待が持てるだろう。
広徳県と同様、鳥インフルエンザの発生地では有効な処理と防止策が講じられてきた。感染は完全に食い止められ、人への感染は１人も報告されていない。
非発生地はウイルス浸入を防止
一部の省で鳥インフルエンザが発生した後、各地は感染の防止に乗り出した。
北京では各區(qū)?県が家禽の生産地、賭殺?加工や販売する企業(yè)の検査と検疫、衛(wèi)生管理を強(qiáng)化した。１月28日以降、各市場は一律、現(xiàn)場での賭殺や加工、検査と検疫を受けていない家禽食品の販売を禁止。市外からの家禽類に対しても検査報告制度を再開し、輸出品やその他の製品についても監(jiān)視と検疫を強(qiáng)化している。このため、北京市は検疫所を北京に通ずる全ての道路の入り口に移したほか、鉄道、港灣や空港でも24時間體制で検疫を?qū)g施。検査と消毒を強(qiáng)化する共に、疑い例を発見した場合には即刻、一時的に沒収し、再検査を行っている。また動物疫病指揮部や獣醫(yī)衛(wèi)生監(jiān)督検査所に専門の電話を設(shè)置し、事業(yè)所や市民に疫病を発見したら直ちに報告するよう求めている。市農(nóng)業(yè)局は既に400萬余りの鳥インフルエンザワクチンを準(zhǔn)備しているほか、區(qū)や県も用意しているため、感染を防止する態(tài)勢は整った。農(nóng)業(yè)と衛(wèi)生を管轄する牛有成副市長は「我々はワクチンが無駄になり、市民が混亂しないよう望む」と話している。
武漢市は數(shù)千萬羽の家禽に対し全て免疫接種を施すことを決定。また飼育場や畜産家、市場を?qū)澫螭巳嬲{(diào)査を?qū)g施して狀況を把握しているほか、飼育場や賭殺場、製品を扱う場所、専業(yè)農(nóng)家に対して毎日、消毒を行っている。武漢に入る交通の要衝５カ所に検問所を設(shè)けて、検疫や消毒作業(yè)を強(qiáng)化。有効な証明書を持たない場合には、市場での販売は禁じている。さらに疫病報告制度も実施している。
山西省。各地の家畜獣醫(yī)機(jī)関は30萬羽以上飼育する78の市?県と、116の飼育場、500の大規(guī)模専業(yè)養(yǎng)鶏家を重點(diǎn)的に監(jiān)視している。全省の鶏に対する強(qiáng)制免疫は２月20日までに終了した。
山東省は家禽肉の輸出量が23萬―35萬トンと、全國の輸出総量の50％以上を占める。現(xiàn)在のところ、鳥インフルエンザは発生していない。省政府は全面調(diào)査を?qū)g施したほか、市場に出回る家禽類に対して血液検査やワクチン接種を?qū)g施。飼育場の管理を徹底し、人や車の進(jìn)入を制限し、鶏舎や養(yǎng)鶏家、生産設(shè)備に対して消毒を行った。ウイルスの浸入を防止するため道路での検査も強(qiáng)化するなど、管理は非常に厳格だ。
黒竜江省では疫病監(jiān)視システムが日々完備されつつある。ハルビンやチチハル、大興安嶺などに監(jiān)視センターを設(shè)置。市場や飼育場、加工企業(yè)、レストランに対する監(jiān)督と検査を強(qiáng)化しているほか、生きた鶏やアヒルの販売に関しては、20羽ごとに動物製品検疫を?qū)g施し、合格した場合には動物の腳にブルーのラベルを貼らせている。冷凍家禽製品についても検疫を課し、合格しなければ販売は許可されない。
福建省でも、空港や港灣での検疫係官による検査を強(qiáng)化しており、旅行者に対し健康検疫カードに攜帯品も詳細(xì)に記入するよう求めている。同時に疫病発生地からの浸入を未然に防ぐため、攜帯品抽出検査の頻度を高めた。発見した場合は廃棄処分される。
このほか、國際郵便の検査や國際船舶や航空機(jī)などに対する?yún)椄瘠蕳室摺鼦壩铯錄A水の無害化処理の監(jiān)督も強(qiáng)化している。
政府は非常に重視
國務(wù)院は１月30日、回良玉総理が総指揮を務(wù)め、華建敏國務(wù)院秘書長が副総指揮を務(wù)める「全國高疾病性鳥インフルエンザ防止治療指揮部」の発足を決定した。指揮部は発展改革委員會や財政部、衛(wèi)生部、農(nóng)業(yè)部、品質(zhì)検査総局、工商総局、科學(xué)技術(shù)部、商務(wù)部、稅関総署などの省庁で構(gòu)成される。
指揮部の第１回會合が２月１日に開かれた。この席で回良玉総指揮は（１）防止治療作業(yè)を円滑に進(jìn)め、感染の狀況を適時、正確に公表すると共に、有効な措置を講じて疫病の感染と蔓延の抑制、特に人への感染を防止しなければならない（２）監(jiān)督と検疫を強(qiáng)化し、重點(diǎn)地區(qū)や重點(diǎn)製品、問題となる人に対して厳格に検疫と消毒を行うと共に、家禽と製品の生産行為を適正化するほか、輸出品の検疫作業(yè)を円滑に実施する（３）高疾病性鳥インフルエンザウイルスと防止治療技術(shù)の研究を強(qiáng)化する（４）疫病の防止治療に関する政策を制定すると共に、作業(yè)措置を検討して提起し、各政策と措置が著実に実施されるようにする（５）保障を強(qiáng)化し、ワクチンや薬品の生産と準(zhǔn)備を滯りなく進(jìn)め、防疫用物質(zhì)の配給を円滑に行い、防止治療経費(fèi)の問題を解決すると共に、市場への供給を調(diào)節(jié)しながら供給を確保して、社會の安定を維持する（６）中國共産黨中央や國務(wù)院の政策キャンペーンを強(qiáng)化し、防止治療作業(yè)措置や疫病予防の科學(xué)知識を広める（７）関係する國際組織や周辺諸國との協(xié)力を強(qiáng)化し、香港やマカオ、臺灣地區(qū)との協(xié)力にも力を入れる―――の７點(diǎn)に力を入れていく考えを強(qiáng)調(diào)した。
衛(wèi)生部は先ごろ、『鳥インフルエンザの人への突発的感染に関する緊急対策案』を公布した。対策案は、疫病が発生した場合、衛(wèi)生行政機(jī)関は直ちに緊急疫病応急処理技術(shù)指導(dǎo)グループを発足させ、各地は疫病に関して上級機(jī)関に報告する制度を?qū)g施し、省クラスの衛(wèi)生庁と國家疾病予防センターは報告を受けたら即刻、衛(wèi)生部に報告し、人への感染例については、衛(wèi)生部が組織する専門家チームが最終的に確認(rèn)すると規(guī)定している。また各地、市クラス以上の衛(wèi)生行政機(jī)関はその行政區(qū)域內(nèi)で少なくとも１カ所を鳥インフルエンザ感染者を収容する病院に指定すると共に、治療専門家チームを組織するとしている。さらに緊急疫病処理技術(shù)指導(dǎo)小グループの総合評価を得て、発生區(qū)內(nèi)の最後の患者が回復(fù)して10日以內(nèi)に新たな発病例が出なければ、省クラスの衛(wèi)生行政機(jī)関はその省の人民政府に報告し、認(rèn)可された後に疫病の発生を解除し、一般治療に當(dāng)たると規(guī)定。省クラスの衛(wèi)生行政機(jī)関は鳥インフルエンザの人への感染を検出する実験室を設(shè)置するほか、疑い例のサンプルを採集する際の防護(hù)、輸送についてはSARSのケースを參考して行うことにしている。
國家品質(zhì)検査総局もこのほど、鳥インフルエンザ拡散防止に関する緊急通達(dá)を出した。各地の品質(zhì)技術(shù)監(jiān)督機(jī)関に対し、家禽の賭殺や加工企業(yè)の監(jiān)督管理を強(qiáng)化し、感染地區(qū)からの家禽や製品の加工、販売を禁じている。疫病の発生が解除されるまでは、農(nóng)業(yè)機(jī)関が確定した感染地區(qū)の範(fàn)囲內(nèi)にある関連加工企業(yè)は直ちに生産を停止し、既に生産した製品は封印し、市場に出荷してはならない。
鉄道部は２月３日、貨物?旅客輸送について新たな規(guī)定を設(shè)けた。感染地區(qū)や危険地區(qū)にある駅では、家禽類や製品の輸送を取り扱ってはならない。既に受けた貨物は封印して隔離し、鉄道部に報告すると共に輸送を停止し、當(dāng)?shù)丐畏酪咚瑒I分する。非感染地區(qū)の駅では、輸送に當(dāng)たっては、荷主に検疫証明書を提示させると規(guī)定。輸送途上で問題が生じた場合は隨時、當(dāng)?shù)丐蝿又参飾室咚藞蟾妞贰伍v係規(guī)定に基づいて処理するとしている。
科學(xué)技術(shù)部は防止治療技術(shù)を開発するため２月２日、「全國高疾病性鳥インフルエンザ防止治療科學(xué)技術(shù)グループ」を発足させた。同グループの座長を務(wù)める科學(xué)技術(shù)部の李學(xué)勇副部長は「防止治療技術(shù)や病原の研究、ワクチンの研究開発、鳥から人への感染防止を重點(diǎn)に、全國の技術(shù)力を結(jié)集して突破口を開きたい。現(xiàn)有の技術(shù)成果を応用して作業(yè)を進(jìn)めると共に、國際協(xié)力も展開していく」と話している。
國家疾病予防制御センターは、鳥インフルエンザの人への感染が起きた場合に備えて既に応急メカニズムを構(gòu)築している。24時間態(tài)勢でP３実験室を使用できるよう既に準(zhǔn)備しており、専門家チームは隨時、鳥インフルエンザやインフルエンザの緊急検査ができる。また同センターは４つの専門家グループを鳥インフルエンザ発生地區(qū)に派遣し、感染防止の指導(dǎo)に當(dāng)たらせているほか、WHO（世界保健機(jī)関）と防止治療技術(shù)面で定期的な交流を行っている。
鳥インフルエンザが発生して以降、農(nóng)業(yè)部と衛(wèi)生部は直ちにFAO（國連食糧農(nóng)業(yè)機(jī)構(gòu)）とWHOに関係狀況を報告すると共に、防止治療作業(yè)での交流と協(xié)力を歓迎する姿勢を示した。関係機(jī)関はさらに香港、マカオに対しても隨時狀況を報告。WHOの駐中國代表事務(wù)所の高官によると、２月２日にオランダ籍のWHO専門家が北京に到著後、中國當(dāng)局と鳥インフルエンザ感染の調(diào)査に當(dāng)たった。専門家は家禽の処分や感染防止措置、処分の過程での環(huán)境保護(hù)や動物の免疫、監(jiān)視システムの評価などで中國側(cè)に提言。その中で専門家は「重點(diǎn)は防疫擔(dān)當(dāng)者への感染を防止することだ」と強(qiáng)調(diào)した。
『北京週報』より2004-02-18
