國連の「文明の同盟に関するハイレベルパネル」は先月、「西側諸國とイスラム世界の衝突の主要原因は、宗教ではなく政治にある」とする研究報告をアナン事務総長に提出した。
西側諸國とイスラム世界の対立と衝突は、現実であり、歴史であり、現在の世界に存在するだけでなく、數十年、數百年、さらには千年以上も続いてきたものだ。両者の対立と衝突は宗教、イデオロギー上の致命的な相違に起因するというのが、よく聞かれる説明だ。米國の學者、ハンチントンによる「文明の衝突」は、冷戦後の西側諸國とイスラム世界の対立と衝突の根源に関する、いわゆる「権威ある解釈」となった感があり、ニューヨーク同時多発テロは、それをさらに強める結果となった。
実際には、キリスト教とイスラム教を含む多くの宗教は、「平和」「寛容」「善行の勧め」を教義で訴えている。宗教の名の下に発動されるいかなる不正義の戦爭も、それ自體が宗教に対する不敬と冒涜であり、利益略奪の本質を宗教によって覆い隠すことを狙っているのだ。実際、異なる信仰を持っていても親しく共存することが完全に可能であり、他民族?多人種?多宗教?多文化の多くの國々や社會では、いわゆる「宗教戦爭」が発生したことがないということを、人類史はとっくに証明している。
世界の多くの有識者は、西側諸國とイスラム世界の間に見られる宗教?イデオロギー上の対立と衝突は表象に過ぎず、その背後にある真の根源は、剝き出しの利益であり、その最たるものが経済的な利益だと指摘してきた。中世の「十字軍遠征」は、名目上はイスラム教徒に対するキリスト教徒の「聖戦」だったが、実際には西歐諸國の封建領主が、「東方」の土地と財産に垂涎して行った侵略と略奪だった。
國連報告は、「宗教紛爭」や「文明の衝突」に覆い隠された対立の本質を明らかにした。米國がイラク戦爭を発動した目的は石油資源の豊富なイスラム諸國を支配するためであり、西側諸國が民主、人権などの問題でダブルスタンダードを採用するのは、その既得権益を守るためだ????。
西側諸國とイスラム世界の対立はどのようにして緩和し、取り除くことができるのだろうか。2國間および多國間の宗教対話、文明対話は當然必要だが、より重要な根本的解決の道は、多極世界を構築し、國際政治と経済の公正で合理的な新秩序を構築することである。
「人民網日本語版」2006年12月7日