中國西部にある宇宙育種基地で栽培された5つの宇宙育種の新品種が5月初め、甘粛省農作物品種審査決定委員會の認定を受けた。現在、中國の宇宙育種の新品種は60種に及び、世界的に見てもトップレベルだ。
「1ムー(約6.667アール)で5000キロのピーマンが収穫でき、ササゲが1メート、ナス1個が3キロに成長するなど、宇宙育種の新品種は農産物の収穫量を大いに引き上げた」と話すのは、 宇宙育種の専門家である包文生さんだ。中國の西部宇宙育種基地で栽培されている18種の宇宙育種の野菜の新品種は、すでに全國25の省?區に広がり、耕作面積合計は6萬4000ヘクタールに上る。地元で栽培されていた品種に比べると、収穫量は10%から30%増加し、トウガラシに含まれるビタミンCも30%から83%にまで増えた。
宇宙育種で育てられた新品種は、収穫量が多く品質も優れており、病蟲害にも強いという特徴があり、甘粛省農作物品種審査決定委員會が実施した「生産高評価」の評定では、2007年から2008年の數回にわたる実験の結果、宇宙育種の新品種の平均増産量は11%から38%だったことが分かった。
中國農業部門の統計によると、中國の宇宙育種の新品種はすでに240萬ヘクタールまで広がり、増えた食糧は13億キロ、直接の経済利益は21億元だった。
中國が宇宙育種の研究に取り組み始めたのは1987年で、これは世界でもかなり早い。1987年から國の「863」計畫などのプロジェクトの援助を受け、帰還式衛星や宇宙船「神州」に植物の種や菌種、微生物、試験管苗などを搭載するなどして、宇宙育種の事業を展開してきた。長年の栽培と選別により、今年5月初めまでに育成に成功した品種と、國あるいは省レベルの審査に合格した新品種は60種に上り、そのうち西部宇宙育種基地の品種は18種を占める。
中國では今、福建農科學院、中國農科院、黒竜江農科院、江西省農科院、甘粛宇宙育種センターなどの研究機関が宇宙育種の研究に取り組んでいる。
包文生さんは「中國の宇宙育種研究は國外と違い、品種を栽培すると同時に、宇宙での突然変異の環境作りやメカニズムの研究をしている。そのため育種の研究の程度や範囲は世界トップレベルだ。宇宙育種は中國獨特な育種の方法の一つで、推進してきた結果から見ると、栽培された品種はともに優良品種で、今必要なのは成果の転化の程度をさらに強め、宇宙育種の産業化の足並みを加速させることだ」と話す。
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2010年5月7日