かつて飛ぶ鳥を落とす勢いだった日本が、20年におよぶ長い経済低迷に沈んでいる。このような低迷を招いた要因としては、ひとつには主要な技術分野で最高水準を保てなくなったこと、もうひとつには日本が伝統的に強い分野である製造業が主流から外れつつあることがあるだろう。

この現狀を打破し、世界の技術分野におけるリード的立場をとり戻すために、日本はある種の手順を省いて次の段階に進むことを考えている。センサー技術の研究を通して奇襲攻撃を成功させ、ネット時代を通り越して次の潮流をとらえるという筋書きである。デジタル分野で再び「トップ集団」に加わる青寫真を描いているのだ。

そういった意味で、日本が昨年の9月に制定した國家IOT戦略は日本再生への期待を擔っていると言える。

デジタル時代に失った発言権

トヨタ自動車は日本工業の高い水準を體現する「優等生」であり、日本一競爭力のあるグローバル企業の一つである。一連のトヨタリコール事件のようなことも今日の日本では決して特殊な出來事ではなくなっている。その原因を根本から探るなら、結局のところ産業構造がもたらした問題であると言える。

トヨタのリコール事件は日本の「精密製造」がコストという重圧に耐えきれなくなったことの必然的な結果である。その原因は、日本が技術において優勢的な地位をすっかり失ったことに求めることができる。かつて日本が誇りとしていた「精密製造」は、「製造」の前に「精密」という修飾句がついていても製造業であることには変わりがなく、産業構造そのものが時代遅れであるという運命を逃れられないのだ。