中國が環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への加盟を申請したことが近頃、世界で注目され、様々な論評がされている。中にはマイナスの意見もある。(筆者:霍建國氏 中國商務部研究院元院長)
肯定派は、CPTPPへの加盟申請は中國の高基準の國際貿易規則體系を受け入れ、國內改革の深化を通して國際基準に全面的に合わせる姿勢を示しており、中國の外向型経済発展に新たな原動力と活力をもたらすと考える。中國が交渉基準を満たし、加わることができれば、現有の國際貿易投資構造を変えるだけでなく、中國を國際競爭でより主動的な地位に立たせることもできる。否定派は、中國は同協定の高基準な開放規則とまだ差があり、短期間で國內の各方面の改革を終え、「ハイレベル開放」の関連要求に適応することは難しいと考える。當然、交渉のプロセスは中國の開放理念と同協定加盟の決心で決まる。
中國のCPTPP加盟の目的から考えると、交渉を通して國際ハイレベル規則體系に合わせるとなれば、國內の改革開放を考慮し、地域貿易協定に積極的に溶け込み、中國企業の國際競爭への參與意思を促すことになる。貿易業界関係者は、CPTPPの規則體系は當今の國際貿易分野で最も系統的、全面的、高基準の規則體系だと考える。現在の國際経済競爭構造から分析すると、中國のCPTPP加盟までの道のりは規則基準と技術交渉の困難だけでなく、大國の駆け引きと地域の複雑な競爭局面にも直面するだろう。
規則基準を見ると、CPTPPには30章節あり、その大部分がWTOの規則とほぼ一致し、WTOを超越する規則は10章前後だが、これらの章節は國際競爭と密接に関わる內容で、客観的に言って新たな規則體系を構築する必要がある。例えば、EC、政府調達、競爭政策、國有企業、および指定の獨占、知的財産権保護、労働、環境などは國際貿易競爭の深化と細分化に伴い、新たな規則體系の構築がより必要となっている。當然、これらの分野において、我々には多かれ少なかれ差があるが、これらの規則は全體的に言って中國の改革開放の目的と一致し、改革深化を通して到達することもできる。
「第14次五カ年計畫」の規則に基づくと、中國はより広範囲と多分野で深層的な対外開放を実行する。ハイレベル開放の重點は規則の結合と制度性の開放を加速させることであり、これは中國のハイレベル開放を堅持する決心と理念を十分に示している。中國がCPTPP交渉に加わる最大の価値は、交渉を通して我々が國際ハイレベル開放の基本要求をより把握し、これらの規則基準に合わせ、國內の関連分野の改革開放を全面的に推し進めることにある。これは、中國の特徴的な社會主義市場経済體制の構築の加速化、経済の繁栄と発展を促し、人民に福をもたらす。中國の改革開放は発展し、市場參入の開放において飛躍を遂げたが、規則と制度性開放は我々が直面する厳しい試練である。
地縁政治の矛盾から見ると、日本とオーストラリアは交渉までの主な障害になるという分析もされている。現在の姿勢で言えば、日本政府は中國には同協定の高基準の貿易規則とまだ差があり、短期間で中國が基準に達するのは難しいと考えている。日本の一部の右派には、「中國の加盟を受け入れるには、中日間のその他の面の爭いと組み合わせて考慮すべき」、「中國が加盟すれば、日本に取って代わりCPTPPの主導的地位に立つことになる」という意見もある。そのため、日本は主観的に中國の加盟を歓迎していない。しかし客観的には、中國の加盟を拒絶する理由もない。経済の角度から分析すると、中國の加盟は地域貿易協力の規模と影響力を拡大し、各加盟國の経済利益を増大させる。貿易の相乗効果および地域貿易の波及効果をより引き出すことができる。
オーストラリアの姿勢を見ると、オーストラリアは中國側が中豪貿易摩擦を適切に処理することを望む考えを強調している。これは、政治と経済のダブルの矛盾の中で、オーストラリアは経済問題の解決をより優先していることを意味する。実情を見ると、中豪の矛盾が中國の加盟の主な障害になることはない。中國が同協定に加盟すれば、協定の各項目を全面的に履行する必要があり、中豪貿易投資の面の多くの摩擦と矛盾が協定の範囲內で緩和される可能性がある。當然、中豪の二國間交渉にはまだ困難がある。
要するに、交渉に加わるまで多くの矛盾と困難があり、國內の改革の進展と交渉の策略によって決まるが、我々の優位性と魅力にも著目する必要がある。現在、CPTPPの11加盟國の大部分が中國と二國間自由貿易協定を結んでおり、これは良い基礎となる。そのほか、中國の貿易規模と市場規模は最大の魅力であり、中國の加盟は域內協力の効果を高めるだけでなく、CPTPPの世界的影響力も高めることができる。我々は、CPTPP加盟の本當の難點は國別の矛盾をどのように解決するかだけでなく、國內の改革をどのように加速させるかでもあると十分に認識する必要がある。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2021年11月22日