中國人研究者が執筆したエイズ発病の新メカニズムを解明する論文が最新の米誌『サイエンス』に掲載され、世界のエイズ研究者の関心を集めている。
浙江大學の于暁方教授が指導する研究グループは長年にわたる研究の結果、世界で初めてHIV(エイズウイルス)を人體細胞の自然防御システムを介して人體細胞に大量複製させる1組の蛋白を発見した。HIVが宿主細胞の防御システムを突破する分子構造を解明するとともに、新たなHIV防止治療法を提起。蛋白の発見はHIVがいかに宿主防御システムに打ち勝つのかを知るうえでカギとなるもので、エイズの予防と治療に向けまったく新しい理念と方法を打ち出すなど、HIV治療で新規軸を開くと期待さている。理論的また実際応用面で重大な意義と価値をもつ。
于暁方教授は米ジョンズ?ホプキンス大學公共衛生學院の教授、米國立衛生研究所の世界エイズワクチン臨床研究プロジェクト関連の中國地區責任者などを務めている。この20年來、一貫してエイズ流行病學やエイズ発病メカニズム、新型抗エイズ薬やエイズワクチンなどの研究に従事してきた。
于暁方教授は「HIVにはウイルス感染因子が含まれており、因子は蛋白複合體を通じてエイズに感染する機會を増幅させる。一連の実験で、ウイルス感染因子と泛素連続酵母の共同作用を抑えこめば、エイズ感染率を90%低下できることが分かった。エイズは今でも人類にとって不治の病だが、この數年來、抗エイズ薬の『カクテル』療法で先進國ではHIV-1のまん延が有効に抑制されてきた。でも価格が高い、長期服用による副作用がある、體內からウイルスを完全に排除できないなど、この薬にも限界がある。またHIV株は急速に変異するため、ワクチンの開発研究も非常に難しい。世界的に知られていた2件の大規模なワクチン開発はすでに失敗を宣言したが、カギとなる問題の1つは、HIVがいかに宿主の主細胞防御システムを突破するかという分子メカニズムが明白でなかったことだ」と説明する。
世界のエイズ専門家は「今回の発見は人類が今後、HIV感染を防止治療する新薬や新療法を研究開発するうえで非常に役立つ」と評価している。
「チャイナネット」2004年1月30日