林國本
初めて発展途上國で開催された上海萬博もそろそろ開幕2カ月目へと近づきつつある。當初懸念された人の流れの混亂も顕在化することなく、かなりスムーズに諸日程をこなしている。
私見ではあるが、上海はさすかに何回もビッグな國際イベントをこなしてきただけあって、たしかに上手にことを運んでいるようだ。
考えてみると、上海萬博の開催が決まってから、北京オリンピックと萬博をわずか二年間の年月の差で開催することでは、はたしてインフラ整備や人員の育成は大丈夫なのかと杞憂かも知れない心情を持つ人もいた。しかし、フタをあけてみると、うまく行っているではないか。この小文は「中間のしめくくり」として、私見を述べたものである。
(1)上海の人たちは會場の立地選択の段階からマイナスと見えることをできるだけプラスに変えることに腐心してきたようだ。例えば、江南造船廠の移転ひとつにしても1萬トン級の船ぐらいしか造れなかった舊造船所を他の場所に移すことによって數萬トン級の船を造れるところに変えた。これはもうマジックという以外にない妙手である。つまり、萬博という追い風を生かして、手品のごとく新生させたのだ。一般の中國人の間で、よくジョークとして語り継がれていることだが、上海人は日本の大阪の人たちと似ているところがあり、ころんでも、ただでは立ち上がろうとしない面もある。マイナス?イメージかも知れないが打算的だとも言われているが、これは百數十年前から開港地として外國と接觸し、國內各地と人的交流もあり、各地から人が集まってきたこととも関連がある。國內で2つある証券取引場の1つも上海にある」。浙江商人のいる浙江省とも接しているので、商才のある人が多く集まっていたことも一因であろう。
(2)ボランティアを上手に使いこなしていること。上海の人たちはどうも、ボランティアをサービスという役割のみに限定せず、たえず會場の狀況をフィードバックするために使っているような気がする。だからどんなことでも、柔軟に対応し、いちはやく改善措置をとっているのである。
(3)當初から閉幕後の再開発のグランドデザインを描いているような気がする。私見ではあるが、會場跡地は「金のなる木」であり、巷間でうわさされている「上海萬博の収支はトントン」どころの話ではない。上海の人たちがどんなソロバンをはじいているのかは定かではないが、私のような素人が見ても、會場跡地は東京で言えばウォーターフロントの特等地、「収」の方が十倍も多くなるかも知れないのだ。もちろん、すぐにではなく、十年はかかるだろう。
上海萬博はたいへんスムーズにいっている。これは喜ばしいことだ。しかし、私はセキュリティについては決して手をゆるめないようにしてもらいたい。「ソフトで、スマイルのセキュリティ」で萬博の成果を守りぬくことである。これが完ぺきであれば、萬博は大成功となるに違いない。この點で萬博に手ぬかりがあれば、國外のマイナス?イメージの報道にさらされることになろう。広い世界で中國の成果をこころよく思わぬ人がいないとは言えないのだから。このツボを上手に押さえさえすれば、あとのことはそれほど神経を消耗することはないと思うが、いかがなものだろうか。
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2010年6月17日