ミャオ族は主に中國南西部の貴州省に住んでおり、そのほか、湖南、四川、広西と雲南などの省?自治區に暮らしているミャオ族の人々も一部いる。
『蘆笙踴り』
? 『蘆笙踴り』はミャオ族が住んでいる各地域に伝わっており、特に貴州省の南東部、北西部と広西チワン族自治區西部の山間地帯では『蘆笙踴り』は最もはやっている。「蘆笙」は管楽器の一つであり、『蘆笙踴り』を踴る時、踴り手は蘆笙を吹奏すると同時に、敏しょうに腰とヒップ、膝、くるぶしを動かさなければならない。一般に男性が吹奏しながら踴り、女性は踴るだけで蘆笙は吹奏しない。およそ演奏と踴りの技能が優れた楽手と蘆笙隊はいずれも非常に尊敬されている。過去においては、若い男が蘆笙を吹奏することができるかどうか、『蘆笙踴り』を踴ることができるかどうかは、娘さんたちの結婚相手を選ぶ際の重要な條件の一つであった。新年、若い男女の伝統的な社交活動、豊作の祝い、結婚式と葬儀、新築家屋の落成、祭祀行事の場合はミャオ族の人たちはすべて『蘆笙踴り』を踴ることになる。その活動の內容と性質に基づいて、一般に自ら楽しむもの、風俗としてのもの、演技的なもの、祭祀的および禮儀的ななど5種類に分かれている。
??? 自ら楽しむための『蘆笙踴り』。このような『蘆笙踴り』は最も普及しており、踴り手の年齢、性別の制限がないため、參加人數も非常に多く、普通は芝生、川の土手、または山の傾斜地や空き地で行うことになっている。よく見かける踴りの形には2種類があり、1種は男性が小さな蘆笙を吹き、女性が模様入りのハンカチを手にし、一重の男の踴り手プラス一重の女性の踴り手という形で大きな蘆笙を吹奏している踴り手たちを真中に囲むようにして、楽曲のリズムに合わせて體を軽く揺り動かして回って踴るのである。いま1つは、一組(二人)以上の蘆笙の楽手が踴りのリード役となり、その他の踴り手たち(女性の場合が多い)がリード役の後について回って踴り、動作はリード役の吹奏する節回しに合わせて動きを変えるのである。風俗としての『蘆笙踴り』。毎年、「花山祭り」の時に、若い男性たちが踴る『蘆笙踴り』は交歓ばかりでなく、結婚相手を探すためでもある。こうした『蘆笙踴り』はとりわけ貴州省南東部地域で盛んである「討花帯」(模様入りの帯をもらう)と貴州中部地域で盛んにはやっている「牽羊」(「ヒツジ」を引っぱる)が比較的代表的なものである。
「討花帯」は男が踴りながら「討花帯」という蘆笙の楽曲を吹奏し、飛んでいる鳥がしきりにうなずくことを真似るステップで踴り、愛している娘さんから模様入りの帯をもらうことである。娘さんが彼を気に入ったなら、自分で丁寧に編んだ模様入りの帯を男の蘆笙の上につなぐことになる。この形式は主に蘆笙で歌を吹奏することで愛を伝えるため、踴りの動作の振幅は大きくなく、ステップも複雑ではない。
「牽羊」は男が前で蘆笙を吹きながら踴り、その後について踴っている娘さんはある男の人を愛するようになったら、自分が丁寧に編んだ美しい模様入りの帯を、結婚の契りの誓い物としてその男の腰に結び付け、それから帯の一端を引いてその男の後について踴るというのである。テクニックのずば抜けた『蘆笙踴り』の踴り手はときどき何人かの娘さんをつれて踴っているのであった。もちろん、こうした狀況の下で、最終的にどの娘さんと結婚するかはこの時に決められることではない。
演技としての『蘆笙踴り』。一般に祭日または集會において、競技または演技を見せる形でパフォーマンスをするのである。そのほか、村の蘆笙隊を1単位としてグループのコンクールを行うやり方がはやっているところも、個人競技の形で行うところもある。競技は一般に規定された動作を設けず、どの蘆笙の楽手もすべて自分のテクニックを披露するチャンスがあり、高難度のテクニックを見せることで勝利したものも、鳥や動物の習性、姿を真似、生き生きとした、ユーモアたっぷりな動きで拍手喝采されたものもいる。祭祀としての『蘆笙踴り』。通常は木製の太鼓、銅製の太鼓の伴奏の下で踴るものである。踴り手の多くは中年?老年の人たちである。吹奏する大きな蘆笙の長さは1メートルから3メートル以上にも達する。
儀禮としての『蘆笙踴り』。活動の內容によって踴りの形と特色も異なる。結婚式、新築家屋の落成などのめでたい行事の時の『蘆笙踴り』の動作は跳躍的かつ軽快で、熱気を帯びた雰囲気で喜びに湧くものである。葬儀においては、『蘆笙踴り』の役割は主に死者の遺族を慰めることと死者に対する哀悼であり、納棺式においては棺を飛び越える跳躍の動作があるほか、その他の動作はすべて穏やかで控え目である。
『太鼓踴り』
『太鼓踴り』は太鼓を打ち鳴らしながら踴るミャオ族の民間の踴りであり、およそ1000年の歴史がある。使っている太鼓は木製の太鼓と銅製の太鼓がある。
?ミャオ族は長年分散して住んでいるため、言語、服飾、風俗習慣の面にはいくらかの違いがある。各地の『太鼓踴り』は種類も多く、形と風格も違っている。例えば、「花鼓踴り」、「団らん太鼓踴り」、「跳年太鼓踴り」、「サル太鼓踴り」、「踏み太鼓踴り」などがそれである。さまざまな形の太鼓踴りは異なった歴史的時期において、もともとそれぞれの異なった機能があったものだが、現在はすでに祭日やめでたい日に行う行事と人々が労働の合間に行う文化?娯楽活動の形の一つへと発展した。
湖南省西部のいくつかのミャオ族が集まり住んでいる地域では、「花鼓踴り」は一般には伝統的な祭日に行うものである。踴り始める前に、慣行に基づいてまず太鼓づくり職人の功労をたたえる古い歌を歌い、それによって先祖を偲ぶ気持ちを表わすのである。踴りは二人の踴り手がそれぞれ2本の長さ約30センチの太鼓のばちを手にして、それぞれ太鼓の両側に立って同時に太鼓を打ち鳴らし、いま一人は一本の太鼓のばちを手にして太鼓の中央部の片側に立って伴奏として太鼓の腰部をたたき、たたきだしたリズムは統一したものでなければならず、動作はシンメトリックであることを重視している。太鼓をたたく人たちを囲んで踴る踴り手は男女を問わず、多い少ないも問わない。「花鼓踴り」の動作の特色として、男はたくましくて力強く、女性はあっさりして、ソフトで美しい。これらの動作の多くは生活の中から抽出したものであり、例えば、田植え、稲刈り、脫穀および化粧などがそれである。武術を參考にして作り出した動作もある。
「花鼓踴り」から派生した太鼓踴りとしての「二つの太鼓の踴り」は男女がすべて參加することができる。その特徴として、太鼓をたたく時に二人がそれぞれ太鼓の片側をたたくかまたは同時に同じ側をたたき、一人は太鼓をたたき、いま一人は踴りの姿でそれを引き立てることでもよく。動作は臨機応変で、対比と調和を非常に重視している。
? 「団らん太鼓踴り」は歌あり踴りありの太鼓踴りである。踴る時、一人の太鼓たたきが踴り場の中央部で太鼓をたたいて伴奏し、踴り手たちは彼をめぐって太鼓のリズムに合わせて、手と腰を揺り動して踴るのである。一段落の踴りを終えるたびに歌を一首歌い、歌と踴りを交互にくり返す。歌詞の多くは労働と愛を歌ったものである。「跳年太鼓踴り」は伴奏の面ではどらを使うことが多いほか、その形と風格?特徴は大體「団らん太鼓踴り」と同じである。
「シングル太鼓踴り」は湖南省西部地域に住んでいるミャオ族の人たちの間で好まれている演技としての踴りであり、豊作を喜び祝う時及びその他の伝統的な祭日によく踴るものである。男子が踴るものと女性が踴るものの2種類に分かれている。男性の「シングル太鼓踴り」は踴り手が両手に太鼓のばちをもって太鼓を打ち鳴らすか両手でこぶしを握り締めて太鼓をたたき、踴りの動作も豊かで、動物の姿を真似る動作と武術などさまざまな動きがあり、動作は荒っぽくて力強い。女性の「シングル太鼓踴り」は伴奏者が太鼓のふちのところ或いはどらを打ち鳴らす音の中で、両手がそれぞれ一本の太鼓のばちをもって大きな太鼓を打ち鳴らしながら踴るものであり、踴りの動作の多くは労働と生産と日常の生活――土を掘り、田植えをし、糸を紡ぎ、布を織り、鏡を見、化粧をすることを表わしたものである。その風格?特徴として、ごく少數のところは激しくて豪放な動作であるほか、多くの動作はかなり上品できちんとしたものである。
「サル太鼓踴り」は技巧性がかなり強い男性の踴りである。それは「ソロ太鼓踴り」と「ペア太鼓踴り」を踏まえて発展してきたものであり、數十年の歴史があるに過ぎない。この踴りを踴る人は必ずトレーニングを受けてそのテクニックをきちんと身に付けた者でなければならない。踴る時、踴り手が太鼓を打ち鳴らす方法もばちでのものとこぶしでのものの2種類に分かれている。踴りの內容は主にサルが廟の中に入って供え物の果物を盜んで食べた時に知らず知らずに時を知らせる太鼓を打ち鳴らしてしまって慌てている様子と太鼓の前で戯れている姿を表わしたものであり、たいへん面白い。
?「踏み太鼓踴り」は女性が自分で踴って自分で楽しむグループの踴りである。初めは、一人の歌も踴りも優れた太鼓たたきがまず「踏み太鼓の歌」を歌い、それから太鼓を打ち鳴らして踴り手たちのために伴奏する。踴り手はまた、踴り手全員をリードして動作を変換させ、踴りの雰囲気をコントロールする役割を擔い、踴りは初めから最後までずっと太鼓たたきを中心として輪を作って行うものである。踴り手は銀製の頭飾り、首飾り、腕輪をつけ、厚い模様入りの長いスカートをまとうことを美とし、動作が一定の制約を受けるため、踴りもそれ相応に自然に手を振り、腰を揺り動かし、軽く足を上げて踴る風格?特徴が形成されている。「銅太鼓踴り」は一つの面からなる、中空で底のない銅製の太鼓で伴奏する踴りである。この踴りは中國の南部地域に暮らしている少數民族の代表的な、大昔の頃に現れて発展をとげた舞踴文化である。ミャオ族の銅太鼓踴りの形として、現在よく見かけるのは庭または空き地で銅製の太鼓を掛けて、太鼓たたきが木のばちを手にして太鼓の腰部をたたき、いま一つの手で先端に皮のついたばちをもって太鼓の面を打ち鳴らして伴奏し、踴り手は輪を作って抑揚のはっきりした、リズミカルで力強い太鼓の音に合わせて、輪の內側へ向かって踴ったり、外側へ向かって踴ったり、前へ進んだり、後へ退いたりして踴り、興奮し出すと、また手拍子をとったり、「ハイチチ」という聲を叫び出して興を添えたりする。その動作は主に狩猟、野良仕事をルーツとするものや動物の姿と動きを真似たものであり、例えば「馬に乗る」、「アヒルを追い払う」、「魚を捕る」、「エビを捕る」などがそれである。
「チャイナネット」2005年6月10日