近日、中日関係は回復の兆しにある。ASEAN拡大國防相會議期間中の11日、中日の國防相は短い會談を行い、凍り付いていた中日間の民間交流も雪解けムードだ。中國側は既に日本の外務省に対して、「青少年1000人が10月27日から30日まで、上海萬博を訪れることに同意する」と伝えている。釣魚島衝突事件がひと段落し、中日関係は急展開を見せているが、両國は本當に暗いトンネルから抜け出したのだろうか。
「CRI」の記者は、清華大學の劉江永教授に意見を伺った。
領土問題、當分は解決しないだろう
ーー釣魚島衝突事件の騒ぎがまだ完全に収まってないなか、中日は既に関係改善の方向に向かっているが、それはなぜなのか?短期間で、両國は完全にわだかまりを殘すことなく、暗いトンネルから出ることができるのだろうか?
劉教授:これははっきり言える事だが、中日関係は雙方の努力のおかげで、確実に良い方向へと向かっている。政府から民間レベルまで、積極的な和解への一歩を踏み出した。中日間は深い相互依存の関係にある。中日の戦略的互恵関係を維持し、より一層の推進を目指す事は両國人民の根本的な利益になると、政府は今一度確信しているのだ。釣魚島の領土問題は客観的にはまだ存在しており、中日の主張が違うからには、當分、解決は難しいだろう。一番妥當な方法が何かと言うことは、両國が考えていく必要のある共通の課題である。
日本人の考え方に変化が
ーー中日関係の改善は急ピッチで進んだように思える。特に日本側は、あの手この手で中國に働きかけていた。その裏にはどのような事情があるのか?
劉教授:それは両國の利害関係にポイントがある。中國は日本の最大の貿易國であることと、日本の経済回復は避けて通れない問題になってきていると言うことに注目して欲しい。もし、領土問題への対応のせいで、両國の関係が泥沼化してしまったら、日本側のデメリットは大きい。もちろん、中國にとっても不都合なことではあるが、日本が受けるダメージほど深刻ではない。日本経済の不景気はなかなか回復せず、財政赤字も増える一方だ。それに加え、日本の重要な貿易相手はアメリカやヨーロッパなどではなく、中國とアジアなのだ。釣魚島のような無人島のために、中國に対して強引なやり方を取るのは、両國の関係を悪化させて傷口を広げるだけでなく、日本にとっては割に合わず、損するだけなのだ。
ーー今回の釣魚島衝突事件での日本政府は受身の姿勢だったが、今後、これを教訓にして、日本政府は中國に対する外交や策略を変えていく可能性があるのだろうか?
劉教授:私が思うに、今回の事件でつまずいてしまった日本は、今後、以下の3方面で調整を試みるだろう。まずは、総體的な中日関係の安定と発展を維持する。そして、それを前提として、アメリカとの軍事同盟と協力関係を強化し、釣魚島を含む西南諸島海域での自衛隊の威力を拡大する。つまりは、事実上の支配力を高めるということだ。またその一方で、日本は引き続き世界に向けて自分たちの立場を主張し、広報外交を積極的に行うことだろう。言わば、外國の世論に直接働きかけ、日本のイメージアップを図り、より多くの國際的な支持を獲得しようとしているのだ。
日本國內の狀況を見ると、今回の事件以降、中國に対する意識が変化している事がわかる。その事に中國は目を向けなければいけない。日本は自分たちの世論の中だけで領土問題を考えているおり、その認識は畫一的で一定の範囲內に固定されている。その為、中國に対する感情に隔たりが生じ、不信感が募っていく。中日間の問題を良く理解していなければ、國民は世論に先導され、中國に対して強硬派の立場を取る議員を支持し投票するだろう。これらの議員が政界で権力を握れば、中日関係に地雷を埋めたようなものであり、いつ踏んで爆発が起きてもおかしくない事態になるのは間違いない。
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2010年10月15日