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周牧之:黃金の価値は不変だが、玉の価値は人による

周牧之:黃金の価値は不変だが、玉の価値は人による。

タグ: 周牧之 東京経済大學

発信時間: 2012-05-11 17:04:57 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

東京経済大學教授 周牧之

 

広島県に古くからある小さな町、鞆(とも)を先日訪れた。古い街並みがほぼ完全な形で殘されている。瀬戸內海にぐるりと囲まれた靜かな古港があり、かつての寺社や娯楽場が軒を連ね、いにしえの商業街が広がっている。水運時代の「潮待ち港」の繁栄が偲ばれる。

廃れた小さな町は、再び旅人を呼び込むために、かつて同地に滯在した明治維新の英雄、坂本龍馬を呼び込み役に仕立てて宣伝しているが、坂本龍馬の當時の足跡は日本各地に散らばっているので、鞆だけのイメージキャラクターとしては少々無理がある。

加えて、鞆は、龍馬という著名人を宣伝役に起用しながら、一方で、日本アニメ界の巨匠である宮崎駿の足跡を考慮していない。「風の谷のナウシカ」、「天空の城ラピュタ」、「となりのトトロ」、「魔女の宅急便」、「紅の豚」、「千と千尋の神隠し」、「ハウルの動く城」などアニメの傑作で、ディズニーやドリームファクトリーと天下を分ける宮崎駿は、2005年、この歴史ある町の古い家屋に2カ月以上も滯在した。鞆をモデルにして構想を重ね、「崖の上のポニョ」を発表し、センセーションを巻き起こした。鞆の街並みに心を打たれた宮崎氏は、自ら費用を拠出し、同地の古い建築物の修復支援をも行った。

殘念なのは、宮崎作品の世界的価値を同地の人々が熟知しておらず、むしろ粗末にしていることだ。町のとある旅館で見かけた巨匠手書きのデッサンは、手厚く保護されていないどころか、不注意なコーヒー染みで汚されていた。意外かもしれないが、日本國內では知らない人のいない坂本龍馬は、國外ではあまり知られていない。ところが、宮崎駿の崇拝者は、今日では全世界に及んでいる。

巨匠宮崎駿の創造的アニメ空間を體験しようと、毎日大勢の観光客が東京?三鷹のジブリ美術館を訪れている。同美術館は、筆者の東京の自宅近くにあるので、國內外の友人にしばしば同美術館の入場券の購入を頼まれる。ところが數週間後の予約さえ取れないことがあり、宮崎アニメの影響の大きさは計り知れない。

宮崎アニメの世界と、鞆の歴史と絶景とを有機的に融合し、観光客を呼び込めば、歴史に埋もれた古い町を活性化させられることは間違いない。

「黃金の価値は不変だが、玉の価値は人による」(「黃金有價玉無價」)————。黃金の価値は、決まっているので、通貨として使われる。これに対して、(唯一無二で稀少な)「玉」の価値は、その時々の人の評価によって定まる。玉と同様に、コンテンツも受け手の感じ方によって価値が決まる。優れたコンテンツを楽しむ人々が國境を超えて広がる現代において、海外各國の共感を得ることは、想像もつかないチャンスをもたらす。

國際文化交流は、文明の遺伝子の保存にもつながる。古代の日本では、中華文明から大いに學び、導入してきた。663年に、倭(日本)?百済連合軍は、白村江の戦いで唐?新羅連合軍に大敗した。唐朝の強大さを認識した日本は、その後、次々と遣唐使を送り込んで唐に學んだ。奈良と京都を中心に、政治制度から文化、蕓術、宗教、建築までほとんどを輸入し、中華文明の體系を自國で包括的に再現しようとした。

鎌倉幕府は、1185年に武家政治の時代を確立させた。京都を中心とする公家政治に対抗するために、鎌倉幕府は、宋日貿易を大きく開拓し、積極的に宋朝から學び、宗教、文化、建築など文明の諸要素を輸入し、宋朝の禪や茶道といった文化を日本で流行させた。

中國本土の中華文明の進化スタイルは、「創造的破壊」というべきもので、その多くが途絶え、消失していった。しかし、いにしえの日中文化交流の積重ねで、今日、日本の奈良?京都、そして鎌倉に殘っている宗教、建築、蕓術、工蕓品の中に、唐、宋という異なる二つの時期の中華文明の縮図が見て取れる。

「葡萄美酒夜光杯、欲飲琵琶馬上催」——この詩は、(初唐の七言絶句の第一のものとして)中國で千百年もの長きにわたって吟じ続けられた王翰のものであり、明日の命も分からない西域防衛の兵士が月明かりの下で葡萄酒を酌み交わす切ない詩である。中國大陸では、唐時代の葡萄品種は既に途絶えており、唐の詩人が絶賛した極上ワインの味わいは、今日では、詩の余韻から想像するほかない。しかし、日本では1300年前に遣唐使が持ち帰った葡萄品種が山梨県で今もなお綿々と受け継がれている。筆者の友人が経営する山梨の勝沼醸造は、この葡萄で作った葡萄酒を磨き上げ、國際コンクールで大賞を取る極上品を作り上げた。現代に生きる我々に千年前のロマンを味わわせてくれる。

今日のグローバル化とインターネット時代に、文化の交流と伝達は、益々広がりを見せ、スピードアップしている。コンテンツの受け手は増大し、(コンテンツ産業が)収益を上げるだけではなく、相互理解も深まっていく。とりわけ各國が輸出を前提にコンテンツを創作し、あるいは共同制作すれば、コンテンツの內容にも大きな変化が起こるはずだ。

日本の內閣官房知的財産戦略本部、中國國家信息中心などが、今年3月24日、國際シンポジウム「中國の生活革命と日本の魅力の再発見」を北京で共同開催した。日中の産學官の要人が一堂に會し、日中両國の文化産業の交流と協力をテーマに討論した。シンポジウムで示された未來図と、その重要な意義が、500人あまりの各界の來場者を引きつけた。會場での交流の盛り上がりは、日中文化産業の大交流?大協力の時代がいままさに到來したことを物語っている。

 

 

掲載誌:中國新華社『環球』雑誌2012年第8號

 

 

「中國網日本語版(チャイナネット)」2012年5月11日

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