「北京は北西の標高が高く南東が低いため、通州は9本の河川の末端に位置する。上流の汚水がすべてここに流れるため、ほほすべての河川の水質を楽観できない時期があった」通州區北運河北関洪水分流ハブにて、北京市通州區水務局の幹部である邵春剛氏が、目の前の水を指差しながら話した。
しかし彼の指の方向を見ると、ここにかつて汚水が集まっていたことは想像できなかった。北の溫榆河に目を向けると、総合的な対策が展開中で、大型機械が忙しく行き來している。南の北運河に目を向けると、広々とした穏やかな水面に波が立ち、水利輸送を象徴する大光樓が古めかしい。運河ビジネスエリアには、高層ビルが立ち並んでいる。
通州は北京の副都心で、得難い「北方の水の都」でもある。主要河川は13本で、各種水路は300本以上にのぼる。通州の北関では、溫榆河、小中河、運潮減河、北運河、通恵河の5本が交わり、首都北京では珍しい水の景観を形成している。付近の住民を取材すると、「川は川で、かつては心が痛かったが、現在は人々を喜ばせている」と感慨にふける人もいた。確かにかつての汚泥が川を塞ぎ嫌な匂いが立ち込める狀況を想像すると、今日の清らかな水が流れ岸に緑が生い茂る様子は清々しい。通州の人々にとって、河長制の全面的な構築、河長制の実施掘り下げは自覚的な行動であり、必然的な選択でもある。
河長制を徹底するにはどうすればいいだろうか。通州はこの現実的な問題を解消するため、「上が下を率いる」という手段を選んだ。通州で取材を行うと、多くの河長が區委員會書記の視察について話した。この區級総河長兼潮白河河長はかつて川を何度も視察し、さらには隣り合う河北省の河北燕郊側を訪れ潮白河を視察し、ゴミ収集及び汚染物質排出などの狀況を調べた。川を視察することでリーダーシップを発揮し、區級河長、郷鎮(街道)級河長、村級河長が職責を盡くすことを促した。「層ごとに圧力を伝え、層ごとに責任を盡くす」は、通州が河長制の各種制度?措置を徐々に実行に移すための手段だった。
通州では、川の周辺には青い看板が立てられ、河長の氏名や連絡先が分かるようになっている。河長にとって、これも形なき圧力だ。水質が悪ければ市民は河長に不満を持ち、問題を見つければ自ら報告し、苦情を出す。組織的な監督は、形ある圧力だ。通州の河長の攜帯電話には「河長アプリ」が入っている。河の巡視ルート、距離、時間などの職責履行狀況が細分化?量化されている。ある河長は「定期的な視察を行ったか、直ちに問題を報告したかが攜帯電話にはっきり表示される」と話した。通州は2018年5月から通報制度を開始し、各郷鎮(街道)に河長の視察狀況を報告している。その後の郷鎮級河長による視察率が100%に、村級河長による視察率が99%に上がった。
「河長は責任重大だ。河長に圧力があって、初めて汚染対策の意欲が生まれ、問題を解消しようと頭を絞る」通州區の區級河長はこう述べた。汚染防止?汚染対策、河川の浚渫、汚水処理施設の建設などにより、通州區の水質指標は近年徐々に上昇し、汚染水が徐々に減少している。北運河、通恵河、蕭太后河などの畔をそぞろ歩くと、美しい水と緑の岸が常態化しており、水鳥が生息するのももはや夢ではなくなっている。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2019年1月8日