日本政府は2022年12月16日、安全保障関連3文書の軍備増強に向けた改定を閣議決定しました。これに対し先月末、沖縄県議団が「沖縄を再び戦場にしないよう日本政府に対し対話と外交による平和構築の積極的な取り組みを求める意見書」を日本政府の関連省庁に手渡すという出來事がありました。
意見書提出の発端となったのは、昨年2月、沖縄大學地域研究所の泉川友樹特別研究員が個人の立場で沖縄県議會に提出した請願でした。泉川氏は、昨年が國交正?;?0周年の年であったにもかかわらず、日本の政府やメディアが両國間の軍事的な緊張ばかりを取り上げていることを憂慮していました。そこで、「故郷の沖縄が日中対立の発火點になってはたまらない」という思いから、日本政府に対し、1972年以降に中國政府と一連の政治文書で合意した諸原則の遵守と、両國間の問題解決を図ることを內閣総理大臣等に要請する請願を、沖縄県議會の喜友名智子議員を通じて県議會に提出しました。
5月3日に東京?有明防災公園で開かれた「あらたな戦前にさせない! 守ろう平和といのちとくらし 2023 憲法大集會」でスピーチする泉川友樹さん(提供寫真 撮影:五味明憲)
今年に入り、泉川氏の請願と同趣旨の陳情が沖縄本島を始め、宮古島、石垣島、與那國島の住民や団體からも相次いで県議會に提出されたのを受け、沖縄県議會は同意見書を3月30日の本會議で賛成多數で可決し、4月25日までに県議団から日本國外務省、防衛省、內閣府に手渡しました。
意見書は、「軍事力機能の増強による抑止力がかえって地域の緊張を高め、(敵基地攻撃)能力による攻撃は、相手國から報復を招くことは必至」「沖縄が再び『標的』とされるとの不安が県民の中に広がっている」とし、中國を強く意識した安保3文書の趣旨と日本政府の一連の行動への危機感から、対話と外交による取り組みを日本政府に求めています。
自身を発端とするこの一連の動きについて、泉川氏は6日に中央広播電視総臺(チャイナ?メディア?グループ/CMG)からの取材の中で、「沖縄各地からの『軍備よりも外交を』という想いがこもっている。敵基地攻撃能力を求める安保3文書は、『専守防衛』の範囲を完全に超えている」とし、「日中平和友好條約締結45周年の2023年に、軍事的緊張の最前線になっている沖縄の県議會でこの意見書が可決された意義は極めて重い」と示しました。
泉川氏は、「沖縄戦は、日本による中國侵略の背景下に起きた戦爭だった。日本は戦後、深い反省の上に立ち、中國と平和共存の道を歩んできたことで、共に東アジアの平和に大きく貢獻してきた。臺灣の有事が日本の有事に結び付くという短絡的な発想が世の中に受け入れられてしまうのは、日中共同聲明や日中平和友好條約を知らないからだ」と振り返った上で、「中國は15年連続で日本の最大の貿易相手國で、現在の二國間輸出入総額は43兆円に上り、お互いがかけがえのないパートナーになっている」と両國関係の現狀を指摘しました。
さらに、「日本政府は沖縄県議會の意思を真摯に受け止め、中國との対話と外交に真剣に取り組むべきだ。また、他の都道府県や市町村においても同様の意見書が可決されることを期待したい」と述べました。(取材:王小燕、校正:梅田謙)
「中國國際放送局日本語版」2023年5月7日