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szmolu.com |18. 08. 2023 |
中國文化に親しもう~好奇心が導く異文化理解~②中國茶編
中國茶を愉しむ日本人がじわじわと増えています。
日本で「中國茶」といえば、1981年に大手飲料メーカーから発売されたペットボトル飲料?烏龍茶の影響が絶大で、日本人の食生活にすっかり溶け込み、「中國茶=烏龍茶」というイメージが定著しました。ところが、中國茶葉流通協會が公表する統計を確認してみると、中國で生産量が最も多い茶葉は、意外にも緑茶。2022年の総生産量に占める茶葉種類別の割合は、緑茶が58.3%、続いて紅茶15.2%、黒茶13.4%、そして、私たちがよく知る烏龍茶は9.8%と、ほんの1割程度にとどまります。また、緑茶や紅茶といっても、私たちが普段飲用するものとは外形も風味も異なるので、多くの日本人にとって中國茶はまだまだ“未知のお茶”と言えそうです。実際、中國を訪れて何気なく飲んだ中國茶に驚いた!と、そこから興味を持つ人が多いと聞きます。いかがですか? 思いがけない甘美な香りと味わいを知ってみたいと思いませんか?
エコ茶會の様子(2019年)
日本で最大級の中國茶イベント「地球にやさしい中國茶交流會」(通稱:エコ茶會)を主催する合同會社ティーメディアコーポレーションの森崎雅樹代表によれば、初めて開催した2008年の來場者數は50~60名、そこから10年余りを経て、15回目の2019年には約1,500名まで増加しました。イベントの認知度が上昇したことに加え、愛好家または潛在的な愛好家が増えているようです。また、中國茶をきっかけに、茶の歴史?製茶工程?茶器などについて學び始める人も多く、その熱量も高いと言います。森崎代表が會長を務める「茶旅の會」が企畫?催行するツアーは、中國銘茶の産地で茶摘み體験?製茶工場見學?茶に関連する史跡観光等々、まさに連日お茶三昧という內容。コロナ禍では中止を余儀なくされたものの、前回の四川省ツアーは定員に近い約20名の愛好家が參加し、ツアーの再開を心待ちにしている方も少なくありません。
四川省ツアーでのひとコマ(2019年、峨眉山)
今年7月中旬、東京都內の寺院の一角で中國茶會が開かれていました。この日のために中國から取り寄せた茶葉とあって、都內各所から愛好家がやってきます。會場の設え、茶蕓師の所作、お茶の香りや味わいに、あちこちから感嘆のため息が漏れ、主催者による丁寧な解説にうなずきながらメモを取る參加者もいました。
7年前から學んでいるという50代女性は、中國茶を愉しむひと時は、忙しい毎日の中で少し立ち止まって自分自身と向き合う時間にもなっていると言います。
―― 興味を持ったきっかけは何ですか?
友人に誘われて行った中國茶教室で、武夷巖茶(福建省北部で生産される烏龍茶の一種)というお茶を飲んで驚きました。そこから興味が湧き、色々な産地のお茶を飲んでみたいと思うようになったんです。
―― お気に入りの中國茶はありますか?
プーアル茶がお気に入りです。特に、雲南省シーサンパンナ?タイ族自治州の易武鎮という村で作られるお茶には、幸福感を感じさせる特別な味わいや香りがあります。それに、背後にある歴史や文化もとても興味深いです。
中日文化が融合した茶席(2023年、上野)
この會を主催したのは、松本優紀さんと藤盛美恵さん。松本さんは得意の中國語を活かし、2016年から中醫學?薬膳茶?中華點心に続いて中國茶を熱心に習得中。藤盛さんは二十數年前の香港駐在中に中國茶と出會い、現地で評茶員と茶蕓師の資格を取得しました。お二人とも、上海を拠點に茶文化普及に盡力する茶蕓技師?聶秋雲さんに師事し、現在は日本で茶會や講習會を開いています。
―― 茶會や講習會を通じて參加者の方々に伝えたいことはありますか?
藤盛:今では日本でも緑茶以外のお茶も作られるようになりましたが、緑茶しか知らないという方もまだ多いと思います。中國茶には數千と言われるほど多くの種類があり、それぞれに製法や産地による特徴があります。このような中國茶を実際に味わってほしいですし、さらには、お茶を介して中國人と知り合い、個人レベルで相互理解が深まってくれたら……という想いも持ち続けています。
松本:コロナ禍で中國と日本の往來ができなくなって3年余り。今回に関しては、困難な狀況下で勵まし合いながら親交を深めた日本の「茶友」(お茶を通じて知り合った友人)に美味しいお茶を屆けたいという一心でした。
スープ皿、津軽びいどろの酒器、箸置きなどを活用(筆者提供)
―― 中國茶を嗜むには高級な茶器や道具を揃えないといけないのでは、と躊躇してしまいます。
藤盛:中國茶では茶壷?茶杯?茶海(または公道杯)などの茶器を使用しますが、新たに購入しなくても、自宅にあるもので代用できますよ。茶壷は日本の急須や西洋のティーポット、茶杯は小さめの湯飲みや日本酒用のお豬口、また「茶海」はいったんお茶を移し替える器のことですが、ティーポットや耐熱性ミルクピッチャーで構いません。私もお茶會で日本の酒器を使ったりしています。もっと気軽に楽しみたい場合には、マグカップだって十分です!
近年は、中國人バイヤーが日本の陶器を買い付けて、中國茶用の茶器として販売することも多いそうです。私たちも自宅にある器を上手に使って、さっそく中國茶を始めてみませんか?
文=清水友香 産業翻訳者
「中國網日本語版(チャイナネット)」2023年8月18日