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szmolu.com |24. 07. 2024 |
中國の新時代を開く「針路」=木村知義氏
文=ジャーナリスト?木村知義
中國の新たな征途に向けた號砲が響く。中國共産黨第20期中央委員會第3回全體會議(三中全會)の「コミュニケ」を読みながら、そんな感慨を抱きました。將來振り返るとき、中國の新たな歴史を畫することになった「三中全會」として位置付けられることになるだろうという予感も抱きました。
世界注視の中の「三中全會」
今回の「三中全會」は、従來にも増して世界注視の中での開催となったと感じました。なぜ、それほどの注視、関心の高まりとなったのかと言えば、まず、地球規模のコロナ?パンデミックによって世界が経済はじめ社會のあらゆる領域、分野で困難に直面したことにあると思います。3年余りに及ぶパンデミックを越えて、ようやく社會に落ち著きが戻り、再び前に向かって歩みを進める狀況となってはいますが、世界は依然として経済の停滯などパンデミックの「後遺癥」を完全には乗り越えることができずにいます。そんな中で、中國がどう針路を定めるのか、従來にも増して世界の注目が集まったと言えるでしょう。
もう一つは、米國による中國を対象とした「対決」の先鋭化です。米國単獨覇権の後退の一方で中國の発展によって中國の存在が大きく、重くなってきたことで、米國が同盟諸國を巻き込みながら安全保障、産業、経済から技術、文化に至るあらゆる分野において、中國を対象とした「対抗」と「抑止」に走り、世界の分斷を深くしている狀況の中で、中國が何を目指し、どこへ向かおうとしているのかが従來にも増して世界にとって重要な意味を持つようになってきたからです。とりわけ「一帯一路」イニシアチブをはじめ、いまや地球をぐるりと取り巻く規模で連攜と共助、協力の関係が深まる中、いわゆる「グローバルサウス」と言われる「非米世界」が臺頭して世界で重要な位置付けを持つようになり、世界の秩序、環境に歴史的な変化が起き始めているという國際環境の根底的な変動を背景に、世界各國の人々にとって、中國の行方は、自らのこれからを考えることと切り離せない問題となっているからだと言えるでしょう。
こうした世界的な大きな「うねり」を背景に、今回の「三中全會」が重要な意味を持つものとして世界の眼差しを集めたということを、まず、押さえておくべきだと考えます。
「改革を深める」とは?
今回の「三中全會」は、「コミュニケ」にある「改革をいっそう全面的に深化させ、中國式現代化を推進すること」に集約されると言えますが、「改革をいっそう全面的に深化させる」とは一體どういうことなのか、そこをしっかり深めておかなければならないと考えます。
「コミュニケ」では、「改革をいっそう全面的に深化させる総目標は次のとおりである」として「引き続き中國の特色ある社會主義制度を充実?発展させ、國家統治體系?統治能力の現代化を推進する。2035年までに、ハイレベルの社會主義市場経済體制を全面的に完成させ、中國の特色ある社會主義制度がさらに充実し、國家統治體系?統治能力の現代化を基本的に実現し、社會主義現代化を基本的に実現し、今世紀中葉までに社會主義現代化強國を全面的に完成させるために固い基盤を築く。ハイレベルの社會主義市場経済體制の構築、全過程の人民民主の発展、社會主義文化強國の建設、人民の生活の質の向上、『美しい中國』の建設、より高い水準の『平安中國』の建設、黨の指導レベルと長期執政能力の向上に焦點をあて、継続的に改革を前へと推し進めていく。中華人民共和國成立80周年の2029年までに、本決定が提出した改革の任務を達成する」と述べています。
この一節を読みながら、「新たな中國」の姿について想像力を大きくかき立てられます。さらに、目標とする時限を具體的に明示していることで、その時代の中國について思いが巡るのです。中國が目指し達成しようとしているのは、「ハイレベル」あるいは「より高い水準」という言葉に凝縮される、中國社會総體に及ぶ徹底的な変革だということが見えてきます。すなわち中國革命の新たな階段をまた一段高みに登ろうとするものであり、それゆえに、時代を畫する號砲の響きとなっていると感じるのです。
これまでも本稿で、中國と向き合う際には「過程」と「段階」という複眼の思考が欠かせないと述べてきました。つまり、いま、中國革命という長い「過程」における、新たな「段階」へと歩みを進めるときに至ったのだということ、それゆえに、ここからがきわめて大事な道となるということを語り掛けているのだと読み取れます。
よく知られているように、「改革」といえば1978年の「三中全會」において打ち出された「改革開放」が思い浮かびます。それまでの中國の姿を大きく変えることになる、いわば中國の現在の発展の始點とも言うべきものでした。そこから「改革開放」の高成長の時代をひたすら突き進み、豊かさを目指してきて「貧困」の克服を果たす一方で、社會の格差はじめ、「不動産開発」に依拠した地方財政や金融における構造的問題など、中國の経済、社會のひずみと矛盾、さらには「腐敗」というさまざまな「負の遺産」と格闘しながら、新たな段階の社會主義、それも中國の歴史、伝統、思想に根差した新しい社會の姿を目指す「中國の特色ある社會主義」へと歩みを進めようとしている、そんな新たな段階への道筋が示されたということです。「改革を深める」とは、こういう壯大なスケールのことだと読み取れるのです。