大量の貨物を積載した南宋の商船が1987年、広東省陽江市上下川島の南西の海域で偶然発見された。800年以上前の海上シルクロードをありありと示す歴史が、人々の目に飛び込んだ。
広東省の「南海Ⅰ號」南宋沈沒船水中考古発掘プロジェクトが今年5月上旬、2019年度全國10大考古新発見に選ばれた。
「南海Ⅰ號」は海上シルクロードの豊富な歴史?文化情報を持つため、長年に渡り業(yè)界內(nèi)で注目されてきた。復旦大學文物?博物館學科の魏峻研究員は「南海Ⅰ號は初めて全體引き上げを採用し、船體と中の文化財を損ねなかった。これは中國の水中考古発展のすべてに深い影響を及ぼす」と述べた。
「南海Ⅰ號」の発見から引き上げに至るまで、20年に渡る人員育成、技術?経験の蓄積、プランの論証が行われた。「南海Ⅰ號」の船底が2019年末に初めて浮かび上がり、発掘作業(yè)が締めくくりの段階に入った。2021年にすべての作業(yè)が完了する見通しだ。「南海1號」は長期的な保護?修復?研究期間に入り、1、2世代の人員による取り組みが必要になるとみられる。
「南海Ⅰ號」保護発掘プロジェクトリーダー、広東省文物考古研究所副所長の崔勇氏は「南海Ⅰ號はタイムカプセルのようなもので、宋の生活の各方面が詰まっている。當初の全體引き上げも、これを一つの村として研究するためだった」と述べた。
全面的な発掘から6年以上に渡り、「南海Ⅰ號」からは金器、磁器、漆器、鉄器、貨幣など18萬點以上の文化財が発掘された。
プロジェクト倉庫管理チームのメンバーである葉道陽氏は、「これまでガチョウの籠が見つかっていた。中には6羽の揃った骨があった。また羊や鶏などの動物も見つかっていた。これは船員が船內(nèi)で動物を飼っており、これらの家禽も卵を提供していたことを意味する。船內(nèi)からはオリーブ、松の実、カヤなどのナッツの皮、漬け込んだヤマモモ、コショウなどの調(diào)味料、それから冬瓜の種や籾などが見つかった。これは宋の人々が栄養(yǎng)の組み合わせ、食物の保存の一定の経験を持っていたことを意味する」と述べた。
硯、印章、銅鏡、木櫛、観音像、分銅、秤の皿、試金石など、宋の人々の船內(nèi)の日常生活がより活き活きと示された。興味深いことに、「南海Ⅰ號」からはさらにアラビア風の裝飾品が見つかった。人々は船內(nèi)の人員構成について憶測をたくましくした。外國人がこの船に乗り行き來していたのではないだろうか。もしくはこれらがみな荷主の個人的な物品で、各地を歩き回った豊富な経験を示すためだけの道具だったのではないだろうか。
広東省社會科學院広東海洋史研究センター主任の李慶新氏は「整理された多くの器物はデザインが新しく、技術が先進的で、外國の風格がある。これは宋の手工業(yè)生産が海上シルクロードの発展及び海外貿(mào)易のけん引を受け、國際市場の需要向けの輸出品が生産されたことを意味する。江西、浙江、福建、広東などの磁器の生産地では、オーダーメイドや加工など國際市場と合致する生産方法が出現(xiàn)した。唐?宋?元の時代に、中國が世界の海洋貿(mào)易において極めて重要な役割を演じていたことは間違いない」と話した。
専門家は、「南海Ⅰ號」は古代海上シルクロードに最も直接的かつ有力な実物の証拠を提供したと見ている。今後の研究の掘り下げにより、宋の海上貿(mào)易ルート、商品構造、船員の生活といった細部が明らかになり、21世紀海上シルクロードの建設に経験と參考材料を提供する。
「中國網(wǎng)日本語版(チャイナネット)」2020年6月7日