李家祺=文
バンコク舊市街にあるタイ華僑中醫院の窓口には連日、長蛇の列ができている。院內ではタイ語、中國語、英語、韓國語などさまざまな言語が飛び交っている。
バンコクに暮らす公務員のタニンワさん(51)は4年前の脳卒中により重い後遺癥が殘った。行動が不自由になり、立ち上がることも困難で、自分で首を回したり、體の向きを変えたりすることができず、目まいや頭痛も頻繁に起こっていた。病気を治すために多くの病院を回り、さまざまな治療法を試したが、いずれも効果は薄かった。昨年10月、知人から薦められて華僑中醫院を訪れ、醫者から鍼灸と導引(體操と呼吸法を組み合わせた中國の健身法)の治療プランを提案してもらった。治療を一通り終わらせると病狀が好転し、今では正常に出勤できるようになった。「中醫學のおかげで普通の生活ができるようになりました」とタニンワさんは中醫學の効果を絶賛した。
増えた醫療の選択肢
タイ華僑中醫院はタイ最大の中醫學病院で、平日1日當たりの外來患者數は約500人、週末は1日當たり1000人近くが訪れる。
中醫薬の理念はすでに地元の生活に溶け込んでいる。華僑中醫院の蟻凡院長によると、同院はこれまで112カ國の患者を診察し、內科、鍼灸科、骨折?外傷マッサージ科は地元の人々に最も人気がある。タイ保健省のサーティト?ピテゥテーチャ副大臣は、「中醫薬は民衆により多くの醫療の選択肢を與えました」と述べた。
中國との國交樹立25周年を迎えた2000年、タイ政府は中醫學を正式な醫學として認め、タイは中國以外で初めて中醫學を法律で認めた國となった。15年には中醫診療所開業に関する法令が正式に施行された。中醫薬はタイ保健省のタイ醫學と代替醫療発展司の管理體系に組み込まれている。華僑中醫院で4年以上勤務している內科醫の陳寶真さんによると、同病院で受診するタイ人の割合は増え続けている。「地元の多くの人々が中醫學に觸れ、その治療効果を実感する中で中醫學への理解を深め、魅力を感じ始めて、親戚や友人に中醫學の治療法を薦めるようになりました。中醫學の評価はこうして徐々に確立されてきました」
現在、タイには九つの大學が中醫學専門を開設し、800余りの中醫院と診療所があり、年間平均40萬人以上が中醫學の診察を受けている。タイ側の許可を得た中醫薬はすでに1000種類以上あり、中國中醫薬管理局の支持の下で、二つの中醫薬海外センターが建設された。中醫薬事業のタイでの発展は國民の健康を保障するために積極的な貢獻を果たしているとタイ保健省中醫執業管理委員會のアコン?バティスワン議長は指摘した。
歐州でも浸透
ハンガリーの首都ブダペストの英雄広場にある通りに面した小さな白いビルが、ハンガリー岐黃中醫薬センターだ。
「中醫薬は本當に不思議です。聴力が回復するとは思わなかったです」。元教師のジョセフさん(78)は中耳炎で聴力の一部を失い、10回以上の鍼灸治療を受けてから、補聴器がいらなくなった。「岐黃中醫薬センターには本當に感謝しています。ここで診療を受けるよう、多くの友人に薦めました」とジョセフさんは語った。
岐黃中醫薬センターはハンガリー東方國薬集団と甘粛省衛生健康委員會の協力によって16年に設立された。「ここ數年、ハンガリーの中醫薬事業は急速に発展し、地元の人々の認知度は著しく高まっています」と同センターの責任者で中東歐州中醫薬學會の陳震會長。ハンガリーに來て今年で36年目になる陳會長は、ハンガリーの中醫薬事業がゼロから始まり、影響力が絶えず強まっていく様子を目撃した。
13年末、ハンガリー國會は衛生法を可決し、中醫薬の現地発展に法的保障を提供した。14年初め、中國とハンガリーの政府は中醫薬分野の協力意向書に署名した。15年3月、「中醫特色孔子學院」がハンガリーのペーチ大學に設立された。16年、ハンガリー政府は中醫師に歐州連合の醫療免許を発行した。「現在、ほとんどのハンガリー薬局で中醫薬を購入することができ、多くのハンガリー醫科大學で中醫鍼灸コースが開設されています。中醫診療は徐々に地元に溶け込んでいます」と陳會長は語った。
近年、岐黃中醫薬センターはハンガリーの大學と協力して中醫技能訓練コースを開設し、累計數千人の中醫學?西洋醫學複合人材を育成している。陳會長はまた、書籍やソーシャルメディアの配信を通じて、ハンガリー語で現地の人々に中醫薬に関する知識を普及させている。「海外の中醫薬従業者として、これからも中醫薬の魅力を伝え、中國とハンガリーの友好に貢獻できるよう努力していきたいです」
中國中醫薬管理局のデータによると、現在、中醫薬はすでに196の國と地域に伝わっている。中國は40余りの政府、地域管轄機関、國際組織と専門的な中醫薬協力協定を締結している。中醫薬に関する內容は16の自由貿易協定に組み込まれている。中醫薬の國際協力は絶えず深化し、海外の人々に良質な健康サービスを提供するとともに、國家間の人々の心の觸れ合いを促進し、友情を伝えるために積極的な役割を果たしている。
「人民中國インターネット版」より2024年9月26日