気候変動に対応するための中國の指導方針は次の通りである。科學的発展観を全面的に貫き実行に移し、資源節約と環境保全という基本的國策を堅持し、溫室効果ガス排出の抑制、持続可能な発展能力の増強を目標とし、経済成長の確保を中心とし、経済発展モデルの転換を加速し、省エネ、エネルギー構造の最適化、生態環境の保護?整備の強化を重點に置き、科學技術進歩を支柱とし、國際協力を増進し、気候変動対応能力をたえず高め、世界の気候を保護するための新たな貢獻を行う。
中國は気候変動に対応するため、次の原則を堅持している。
――持続可能な発展の枠組みのもとで気候変動に対応する。その理由は気候変動が発展の中で生まれるものであるため、発展過程で解決しなければならないからである。気候変動に対応する過程で持続可能な発展を促し、経済発展と気候変動対応のウィンウィンを実現するよう努力する。
――「共通だが差異のある責任」の原則。これは『気候條約』の中核となる原則である。先進國にせよ発展途上國にせよ気候変動の軽減と適応に関する対策を実施する責任を有するが、各國の歴史的責任、発展レベル、発展段階、能力、貢獻方法が異なるため、先進國はその歴史的な累計排出量と當面の1人當たりの排出量の高さに責任を負い、率先して排出を削減し、それと同時に、発展途上國に資金を供與し、技術を移転する。発展途上國は経済発展と貧困撲滅の過程で、積極的な適応と軽減に関する対策を実施し、排出をできる限り少なくし、共同で気候変動に対応するために貢獻を果たす。
――軽減と適応をともに重視する。気候変動を軽減しそれに適応することは気候変動対応の2つの有機的構成部分である。軽減は相対的に長期的かつ困難な任務であるのに対して、適応はより現実的で切迫することで、発展途上國にとってきわめて重要である。軽減と適応を統一的に計畫し、協調させ、同等に重視しなければならない。
――條約と議定書は気候変動に対応するための主要ルートである。『気候條約』と『京都議定書』は気候変動に対応するための國際協力の法律的基盤を築き、國際社會の共通認識を示した、現在最も権威のある、普遍的かつ全面的な気候変動対応の國際的な枠組みである。気候変動対応において、『気候條約』と『京都議定書』の中核的メカニズムと主要ルートとしての地位を確固として守るべきである。そのほかの多國間協力や二國間協力はすべて『気候條約』と『京都議定書』の補充、補助となるべきである。
――科學技術革新と技術移転に頼る。気候変動対応には技術が必要であり、技術革新と技術移転が気候変動対応の基盤と支柱である。先進國は自國の開発を進め先進技術を応用すると同時に、技術の國際協力と國際移転を推進し、発展途上國に資金を供與し技術を移転する承諾を著実に履行し、発展途上國が必要な資金を獲得し、気候にやさしい技術を使用でき、気候変動に対する軽減能力と適応能力を向上できるようにする義務がある。
――全國民の參加と幅広い國際協力。気候変動に対応するには舊來の生産方式と消費方式の転換が必要であり、社會全體の幅広い參加が必要である。中國は資源節約型で環境にやさしい社會の構築に努め、政府が導き、企業が參加し、大衆が自発的に行動する社會の雰囲気を作り出し、企業の社會的責任感と大衆のグローバルな環境意識を増強させる。気候変動は世界が直面する挑戦であり、世界の幅広い協力と共同努力を通じてこそ解決することができる。中國はこれまでどおり気候変動対応にプラスになるすべての國際協力を積極的に展開し、それに參加する。
2007年6月に中國政府は『気候変動対策國家方案』を公布し、2010年までの中國の気候変動対応の全般的目標を提起した。その內容は、溫室効果ガスの排出抑制策と抑制措置が明らかに成果を上げ、気候変動への適応能力をたえず増強させ、気候変動関連の研究レベルをたえず向上させ、気候変動に関する科學研究が新たな進展を見せ、國民の気候変動に対する意識を大きく高め、気候変動対応の分野のシステム?メカニズムをいっそう強化する、というものである。
溫室効果ガスの排出抑制
――経済発展パターン転換を加速し、省エネと高効率利用に関する政策の導きを強化し、法に基づき省エネ管理を実施することに力を入れ、省エネ技術の開発?デモンストレーション?普及を速め、市場を基礎とする新しい省エネメカニズムを十分に発揮させ、社會全體の省エネ意識を向上させ、資源節約型社會の構築を加速することによって、溫室効果ガス排出の軽減に努める。2010年までに単位GDP(國內総生産)當たりのエネルギー消費を2005年より約20%削減し、それに応じて二酸化炭素の排出を低減させる。
――再生可能エネルギーを大いに発展させ、原子力発電所の建設を積極的に推進し、石炭層ガスを開発?利用するなどの措置を通じて、エネルギー消費構造を最適化する。2010年までに、再生可能エネルギーの開発?利用の総量(大型水力発電を含む)の一次エネルギー消費構造に占めるウェイトを約10%に引き上げ、石炭層ガスの抽出?採掘量を100億立方メートルに到達させるようにする。
――冶金、建材、化學工業などの産業政策を強化し、循環経済を発展させ、資源利用率を高め、亜酸化窒素排出対策などの措置を実施することによって、工業生産過程における溫室効果ガスの排出を抑制する。2010年までに工業生産過程で排出される亜酸化窒素を2005年レベルに抑えるように努める。
――低排出の高生産性水稲品種と半乾性栽培技術の普及を引き続き推し進め、科學的灌漑技術とカスタマイズした施肥法(測土配方施肥)を採用し、反芻動物の優良品種の育成技術と規模化する飼育管理技術の研究開発などの措置を通じて、動物の糞便、廃水、固形廃棄物に対する管理を強化し、メタンガスの利用を促進し、メタンの排出抑制に力を入れる。
――植樹造林、退耕還林還草(耕地を森林や草地に戻すこと)、天然林資源の保護、農地の基盤整備などの重點プロジェクトと政策?措置を引き続き実施することによって、2010年までに森林カバー率を20%に引き上げ、森林の年間二酸化炭素固定量(吸収量)を2005年より約5000萬トン増やすよう力を入れる。
気候変動適応能力を増強
――さまざまな災害のモニタリング?警報?緊急対応メカニズム、多くの部門が參加する政策決定の協調メカニズム、社會全體が幅広く參加する行動メカニズムの完備を通じて、極端な気象災害のモニタリング予報能力の整備を強化する。2010年までに経済社會に対して基礎的、全局的、キーポイント的な役割を備えたいくつかの気象災害防御プロジェクトを完成し、極端な気象災害に対応する総合的なモニタリング?警報能力、防御能力、減災能力を高める。
――農地の基盤整備の強化、栽培制度の調整、抵抗力の強い品種の選択?育成、バイオテクノロジーの開発などの適応措置を通じて、2010年までに新規改良草地を2400萬ヘクタール増やし、退化、砂漠化、アルカリ化した草地5200萬ヘクタールを整備し、農業灌漑用水の有効利用係數を0.5まで引き上げるよう努める。
――天然林資源の保護と自然保護區の監督管理を強化し、生態保護重點プロジェクトの建設を引き続き展開し、重要生態機能區を設置し、自然生態の回復を早めるなどの措置を通じて、2010年までに約90%の典型的森林生態系と國家重點野生動植物を効果的に保護し、自然保護區の面積が國土総面積に占めるウェイトを約16%に高め、水土流失した土地の整備面積25萬平方キロ、生態修復面積30萬平方キロ、砂漠化した土地の整備面積2200萬ヘクタールの達成に努める。
――水資源を合理的に開発し、その配置を最適化し、農地水利基盤整備の新メカニズムを完備し、節水と水文モニタリングを強化するなどの措置を通じて、2010年までに水資源系統の気候変動に対する脆弱性を低減させ、節水型社會の構築において実質的な一歩を踏み出し、大型河川における総合的な洪水?冠水の予防、除去、減災システムを基本的に確立し、農地の干ばつに対する抵抗力の基準を全面的に引き上げる。
――海水面の変化の趨勢に対する科學的モニタリング、海洋と海岸帯の生態系に対する監督管理を強化し、海岸線を合理的に利用し、海辺の濕地を保護し、沿海防護林體系を確立し、マングローブの保護?回復をたえず強化するなどの措置を通じて、2010年までにマングローブ區を全面的に回復し、沿海地域の海洋災害防御能力を向上させるよう力を入れる。
科學研究と技術開発を強化
――気候変動分野の基礎研究を強化し、分析方法をさらに開発し完備し、関連する専門家や管理者を養成するなどの措置を通じて、2010年までに気候変動研究の一部領域を世界の先進レベルに到達させ、気候変動対応の戦略や政策を効果的に制定し、気候変動対応における國際協力に積極的に參加するために科學的な根拠を提供するよう努める。
――自主革新能力を向上させ、國際協力と技術移転を積極的に推進するなどの措置を通じて、2010年までにエネルギー開発、省エネ、クリーンエネルギー技術などの面でかなり大きな進展をとげ、先端技術の産業化のテンポを速め、農業や水利、林業などの部門の気候変動に適応する技術レベルを高め、気候変動に効果的に対応するために科學技術面で充実したサポートを提供するよう努める。
大衆意識と管理レベルの向上
――現代的な情報伝播技術?手段を利用し、気候変動に関する広報、教育および訓練に取り組み、大衆の參加を勵ますなどの措置を通じて、2010年までに社會全體に気候変動に関する基本知識を普及させると同時に、全國民の気候保護意識を向上させ、気候変動に効果的に対応するために良好な社會的雰囲気を作るよう努力する。
――多くの部門が參與する政策決定の協調メカニズムを整備し、企業や大衆が気候変動対応活動に幅広く參加する行動メカニズムを確立するなどの措置を通じて、気候変動対応活動にふさわしく、効率のよい組織機構と管理システムをじょじょに確立するよう努力する。
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