第11回アジア安全保障會議(シャングリラ対話)が3日、シンガポールで閉幕した。3日間の會期中、アジア太平洋地域27カ國から國防長官14人を含む政府高官や専門家、學者などが出席し、地域の安全保障問題をめぐって踏み込んだ意見交換を行った。中國共産黨の機関紙、人民日報が3日付で伝えた。
シンガポール南洋理工大學ラジャラタム國際関係學院の胡逸山?高級客員研究員は記者の取材に対し、「中國に関する議題のウェイトが年々高まっている。特に今年は、インドネシアのユドヨノ大統領の基調講演からパネッタ米國防長官の講演、參加者のさまざまな質問に至るまで全てが中國にからんだ內容だった」と指摘。具體的な議題としては、海洋の安全保障や南中國海(日本名、南シナ海)の領有権問題、米國のアジア太平洋へのリバランス(再均衡)戦略などを挙げた。
開催前に出ていた「中國は今回の會議で『包囲攻撃』を受ける」との見方について、中國代表団の団長を務めた人民解放軍軍事科學院の任海泉副院長は「參加者の間には『対立より対話』『手を出すより口を出す』という了解があり、こうした姿勢がユドヨノ大統領の基調講演から、太平洋リバランス戦略に関するパネッタ長官の講演、高官?専門家?學者のディスカッションに至るまで全てに貫かれていた」と説明、「雰囲気は思ったよりずっと良かった」と好感觸を示した。
ユドヨノ大統領は1日の開幕式後に開かれた晩さん會で、戦略的チャンスをつかみ、アジア太平洋地域の持続可能な平和に向けた枠組みづくりに取り組むよう各國に呼びかけ、この枠組みの実現には「協力の地政學」という新たな地政學に取り組むことが不可欠とした。
シンガポール國立大學リー?クァンユー公共政策大學院の教授でアジア?グローバル化研究所所長の黃靖氏は、「同會議は西側諸國の呼びかけで始まったため、議事日程の設定は西側諸國によるものだが、大國として日増しに臺頭しつつある中國は、全てを西側諸國の歩調に合わせる必要はなくなってきている」と指摘。さらにパネッタ長官がアジア太平洋軍事戦略に関する説明を行った背景については、「東アジア諸國連合(ASEAN)加盟國にとって米國はパワーバランスを保つ存在とされているが、ASEAN加盟國の中には中國を抑制する駒として米國に利用されることを快く思っていない國も多い。米國の戦略に対するASEAN各國のこうした不信感の存在を裏付けている」との見方を示した。
「人民網日本語版」2012年6月5日