人民元國際化の話題が出てから久しいが、実質的な進展はこれといってなく、昨年末になってやっと、國務院常務會議は「広東省、長江デルタ地域と香港?澳門(マカオ)地域との貨物貿易、および広西チワン族自治區、雲南省と東南アジア諸國連合(ASEAN)との貨物貿易で人民元建て決済を試験的に実施する」との決定を下した。これは人民元が國際化に向けて重要な一歩を踏み出したことを示している。こうした動きに伴い、人民元國際化問題は再び國內?海外で広く注目されるようになった。専門家の多くは、日に日に強まる中國の総合的な経済力と上昇を続ける國際競爭力とが人民元國際化にプラスにはたらき、さらに現在の國際金融危機が得難い歴史的なチャンスを提供しているので、このチャンスをしっかりつかまえ、國際化を段階的に進めるべきだとの見方を示す。また、中國の現行の不合理な経済構造とぜい弱な金融システムでは人民元國際化戦略を支えきれないので、現時點での國際化は時期尚早だとの見方を示す専門家もいる。「文匯報」が伝えた。
歴史が教えるように、ある國の通貨が國際通貨になれるかどうかは、主にその國の経済力と國際貿易、國際投資、國際金融における影響力とによって決まる。経済力は通貨の國際化プロセスにある意味で決定的に作用する。とはいえ、國際通貨をめぐる制度や環境の変化もまた不可欠の外的要因だ。米國経済は19世紀80年代末に英國を追い抜いたが、米ドルの覇権的な地位は1945年にブレトン?ウッズ體制が発効した後に確立した。ユーロも世界唯一の國家の枠を超えた共同體である歐州連合(EU)の実力と信用とが後ろ盾になっている。
中國は改革開放以來、経済が急速に発展し、國力が大幅に向上した。経済規模はドイツを抜いて世界3位となり、外貨準備では世界一に、貿易規模では世界3位に躍進した。こうした動きが人民元國際化の基礎固めをした。金融危機の発生により、國際金融システムにおける米ドルの覇権的地位はかつてない試練にさらされた。米國経済は衰退が深刻で、米ドルを中心とする國際通貨システムを支えきれなくなった。そしてEUを筆頭とし、中國を含む世界の主要経済體が國際金融システムの改革を訴える中で、國際通貨システムにおける米ドル、ユーロ、人民元の立ち位置に新たな変化が生じた。米ドルは深刻な信用危機に陥り、ユーロはますます弱體化し、人民元が國際化戦略を進めるべきタイミングがやってきた。
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