米國を乗り越えるには次の3點が必要だと考える。
(1)中日関係の世界的意義を新たに解釈し直す必要がある。過去には「中日関係を軽視し、中米関係を重視する」「日中関係を軽視し、日米関係を重視する」という考え方がよくなされ、中日両國関係を最も重要な大國同士の関係ととらえる視點がなかった。その本質的な原因は、中日がともに、米國との相互的な関係こそが世界的な意義をもつものであり、中日間の相互的な関係はアジア地域に影響を與えるにすぎないと考えていたことによる。だが実際はそうではない。政治的にも軍事的にも、19世紀末にも1930年代にも1940年代にも、歴史的な中日間の不和は世界の列強各國に影響を與えてきた。経済的な意味を考えると、世界の中で中日関係が果たす先導的役割をはっきり認識する必要がある。中日両國は米國にとって最大の債権國であり、米國の対外債務の約3分の1を占める。購買力平価説に基づくと、中日両國の國內総生産(GDP)の総和はすでに米國や歐州連合(EU)、また世界のどの地域的な連合をも抜いている。中日が先導する東アジア経済地帯はすでに世界で最も大きな潛在力と活力とを秘めた経済的エリアである。世界的な視點で考えると、中日関係の重要性がより一層はっきりとわかる。
(2)中日関係は世界的な協力の中から二國間関係の突破口を見いだすべきだ。中日トップの相互訪問をめぐっては、長らく一方の國內問題がもう一方に與える影響にばかり注目が集まってきた。たとえば中國は歴史問題を極度に敏感なタブー領域とみなし、日本は中國産食品の安全性に極度にこだわり、軍事面での透明性の問題を指摘し
続けている。ここ數年はこうした問題が好転の兆しをみせてはいるが、本質的な解には至っていない。ことわざにいうように「木を見て森を見ず」ではいけない。中日雙方が世界的な視點をもって、世界規模での協力に力を注げば、たとえばアフリカでの貧困扶助事業やソマリア海賊対策、世界的な反テロリズム活動などで協力すれば、やむことのない二國間の爭いが一時的に棚上げになり、かえって両國関係の解決にプラスになる可能性がある。
(3)中日両國は世界の今後の発展に向けて、多くの智慧を提供することができる。金融危機により西歐式の発展モデルが危機を迎え、世界はさまざまな考え方が混在する時期に突入した。中日両國はいずれも極めて特色ある國だ。雙方ともに獨自のアジア的特色を備えている。一方は「中國の特色を備えた社會主義」であり。一方は「日本の特色を備えた資本主義」だ。このことは中日両國がいずれも西歐式モデルから學び、これを出発點としながら、獨自の現代化を遂げて発展してきたことを物語る。中日両國が近代化の道を歩み始めたばかりの時期に、両國の賢人たちは西歐列強による領土分割に直面して、アジア主義と世界の未來についての鋭い意見を少なからず発表していた。中日関係の今後の発展について再び迷いの中にある今こそ、こうした先人たちの言葉をかみしめるべきである。歴史は進歩し、中日関係はより高次元の発展を必要としている。中日関係を一層進展させ、米國の過度の影響を脫し、世界的な視點で中日間の協力を考えていけば、中日関係は成熟化に向かって実行可能な道を歩むことができるようになる。
「人民網日本語版」2009年4月29日
|