政府の公用車と言えば、多くの人がアウディやパサート、ビュイック、サンタナなどを思い浮かべるだろう。確かに、街中を走る公用車の多くがこれらのブランドだ。政府の公用車調達先リストには數十ブランドが登録されているのに、これらのブランドが特に人気を集めるのはなぜだろうか。その背後にはどういったいきさつや消費文化があるのか。今年、浙江省が新たな政府の公用車調達を開始するのに伴い、記者が探ってみた。
自主ブランド車 一部の人にまず使用してもらう
吉利汽車の「帝豪」100臺が蘭州警務パトロール隊に正式に導入され、寧波や済南などの都市の警察用車両となったのに続き、再び警察の支持を得た。
浙江省科技庁知的財産権局は2008年3月、吉利汽車の「遠景」90臺の調達を申請した。浙江省の省級機関の公用車に自主ブランド車が導入されるのはこれが初めてだ。
國務院は2009年、『自動車産業調整振興計畫』を公布し、政府公用車は自主ブランド車に重點を置き、2009年から各級政府と公共機関が配備、買い換える公用車で自主ブランド車が占める割合を50%以上とすることが提起された。これを実施するため、財政部は國務院機関事務管理局、中國共産黨中央規律検査委員會などの部門とともに『黨政機関公用車配備更新管理弁法』の起草を進めている。自主ブランド車の基準を設定し、公用車の調達のランク、価格を規制し、自主ブランド車の発展をサポートすることなどを検討している。
『管理弁法』が正式に採択、実施されれば、奇瑞や吉利汽車などの自主ブランド車メーカーは毎年500億元の政府調達の中から利益を獲得することになる。また、自主ブランドメーカーはブランドイメージ確立の絶好の機會を得ることができる。自主ブランド車が公用車のリストに入れば、それは政府がそのブランドと質を認めたことを意味しており、一般消費者に向けた強い暗示ともなる。
公用車選択に関する政策について、マーケティングの専門家で、奇正沐古國際諮問機構の會長である孔繁任氏はこう話す。自主ブランド車は自身の実力に頼って公用車市場に進出しなければならず、次のことを行う必要がある。1つ目は製品構造を改善すること。2つ目は製品の質を高めること。3つ目は製品の內実を高めること。これは広告に頼ってできることではない。戦略については、まず一部の人に使用してもらうことだ。例を挙げると、長城汽車はまずピックアップトラックを製造したが、その後にSUVを製造した。長城はまず多くの人に使用してもらい、警察部門に使用してもらうという販売戦略をとった。結果、「模範の力は無限だ」というように、長城汽車は公用車市場の扉を開くことができた。
ある調査によると、國內の消費者は車を選ぶとき、車の外観や內裝などの「見た目」を優先に考える人がもっとも多いことがわかった。専門家は、自主ブランドの外観は非常に重要で、見た目をよくするだけでなく、大げさすぎてもならず、使用者である公務員の穏健で自制的というイメージに合わせる必要があると話す。
中國自動車業の発展に伴い、政府調達は今後、ますます自主ブランド車に重點を置くようになると予想できる。
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2010年5月19日