安倍首相は中國周辺の東南アジア諸國で「価値観外交」を進めているが、それらの國が日本の侵略史を本當に忘れたと思っているのだろうか。例えば、現在マレーシアの教科書ではその間の歴史にあまり觸れなくなっている。環球時報の記者はこのほど、同國の首都クアラルンプールで「中華民國男女僑胞の慘死を記念する墓」を訪れた。この特殊な建物の両側は石で3部分に仕切られ、中央に8段の階段がある。これはこの地でかつて3年8カ月の薄暗い歳月があったことを象徴している。この墓地には抗日戦士500人以上と一般の犠牲者800人余りが埋葬されている。階段を上ると、「日本がマレーシアを統治した3年8カ月、日本軍はクアラルンプールの農村で大規模な掃討を繰り返し、多くの罪のない市民が捕らえられ、牢獄に入れられた」と中國語、英語、マレー語で書かれた碑文が目に入ってくる。この碑文を書いた、マレーシア華社研究センター栄譽研究員で歴史學者の李業霖氏は日本侵入當時わずか8歳だった。李氏によると、侵略者はマレーシア人に日本語教育を強制し、地元の民族対立をけしかけたという。安倍首相の平和憲法改正の動きについて、「非常に心配」と語り、「それはかつて戦爭で迫害を受けた各國の人々にとって気持ちを踏みにじられるのと同じだから」と話す。
マレーシア第二次世界大戦研究會副秘書長で日本問題専門家の陸培春氏は、「日本がマレー半島を占領した期間、各地で慰安所が設けられ、多くの女性が虐待された」という。この間の歴史をさらに理解するため記者は同研究會の陳松青秘書長を取材。陳秘書長は「近年この間の歴史に対するマレーシア政府の研究は停滯しているが、民間組織や華人は斷念していない。文獻資料だけでなく、現地に赴き被害者やその家族に話を聞いている」と語る。マレーシア新紀元學院マレーシア歴史研究センターの廖文輝主任によると、最新の研究で、20~30年代にすでに日本がマレー半島に人を派遣し、さまざまな情報を収集していたことがわかった。「日本が侵略當時犯した大罪により、中國系、インド系、マレー系の民族すべてが被害にあったが日本人の一部はいまだに罪を認めず、謝罪しないでいる。そうした態度は容認できない。第二次世界大戦に対するドイツの態度に比べ、日本は責任感がない」と廖氏は非難。「日本は今でもマレーシア人に謝罪の借りがある」と語った。
殘念なことに、現在マレーシアの教科書にはこの歴史が記述されていない。同國の學者は、「3年8カ月侵略された國がそれに関してまったく記述しないのは非常に痛ましく、滑稽だ」と語る。陳氏は「英軍が敗退し、日本がマレーシアを占領後、當時の文官はほとんどがマレー人で、彼らは日本人の統治を手助けした。マレー人にとっては恥辱の歴史であるため、政府はこの間の歴史に觸れたがらない」と指摘する。また、マレーシア政府は日本とはすでに第二次世界大戦の問題を清算したと認識しており、當面の日本との関係、特に経済上の関係を考慮し、「沈黙」を選択したという見方もある。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2013年6月20日