麗澤大學特任教授 三潴 正道
話は葬式からご先祖の話へ
第四話:宗親譜って?
「さっき、一族の団結って言ってたけど、そんなに団結しているの?」
「最近の若者の間では少しずつ希薄になってきているけど、まだ、相當なもんだよ」
「一族ってどの範囲を言うのかしら」
「“宗親譜”って聞いたことあるかい?日本で言うと家系図だよ」
「うちには家系図なんてないわ」
「うん、日本人で古い家系図がある家はよほどの名門だ、って聞いたことがある」
「中國人は?」
「家系図は大事だよ。共通の先祖を持っていることを確認する大事な証明書だ」
「そんな昔からよく保存されていたものね」
「戦爭や、最近では文化大革命で紛失した人もいる」
「どうするの?」
「一族の誰か一人が保存していればすぐ複製できるから大丈夫」
「なるほどね。じゃあ、ほとんどの中國人はご先祖を遡れるの?」
「何年か前、上海図書館が、13億の中國人が數百年前のご先祖まで遡れるようにしたんだって。マウスをクリックすればOK!」
「本當?信じられない!」
「何年か前に、臺灣にある屈原の子孫の村が、大陸の屈原の子孫から“宗親譜”をプレゼントされて、大喜びした話がある。2000年以上の系譜だ!」
「同族の子孫がみんなで村を作っているってわけね?」
「そうだよ。趙樹理の小説『李家荘の変遷』は李さんの村さ。河北省の省都は石家荘、つまり石さんの村だったわけだ」
「なるほど。大家族がみんな身近にいるわけね」
「そうさ。今まではね。だから兄弟がいなくても遊び相手には従弟がいた」
「そう言えば、私の友人も一人っ子だったけれど、いとこと遊んでいたって言っていた」
「でも、中國でも核家族化が進んでいるから、これからはどうなることかね」
「でも、わたしは今の中國の若者でも、日本人の同世代に比べたら、ずっと家族思いだと思う」
「それは、やっぱり、儒家思想の影響だろうね」
「どういうこと?」
「孝は百行の本っていうことだよ。次回はその話にしよう」
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2016年1月12日