経済の長期的な低迷の過程で、富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる。日本社會ではそんな現象が広まりつつある。人口約1億人の日本では1970年代、「一億総中流」（一億人が中産階級化）とのスローガンが生まれた。上は國家の総理から、下は建設現場の肉體労働者まで、この時代にはほとんどすべての日本人が「自分は中産階級」と感じたものだ。1980年代、多くの日本人が不動産を投資対象として注目するようになった。しかし株価は1989年にピークに達した後、暴落を始めた。1993年には地価も天井を打ち、不動産価格も下がり始めた。バブル経済は終わって、日本は「失われた20年」に入った。（作者：陳言?日本企業（中國）研究院執行院長）

この失われた時代にあっても、日本の富める層は、社會條件の変化に応じて財産を増やすことができた。だが社會全體の財産の総量が減少する一方、富める者がさらに資産を積み上げれば、こうした層と無縁の一般の人びとはますます貧しくならざるを得ない。日本社會はもう隨分前に「一億総中流」の再構築という希望を失い、階層の固定化という現象がますます明らかになりつつある。

職業が世襲で固定化

階層固定化の過程においては、世襲が大きな役割を果たす。

現在の日本政治を見ると、要職にあるほとんどの政治家が世襲議員であることがわかる。現在の安倍晉三內閣でも、安倍首相を含め、半數以上の大臣が世襲議員だ。例えば副首相の麻生太郎氏は、安倍家の遠縁である上、天皇家や日本政治とも極めて密接な関係にある。安倍內閣のその他の主要閣僚、岸田文雄外務大臣や塩崎恭久厚生労働大臣、石原伸晃経済再生大臣なども、政治家の名門の生まれであり、父親の代にすでに日本政界で大きな勢力を誇っていた家系の出身だ。

企業の市場競爭を通じた発展という場合、市場の競爭の中で企業家が頭角を現すというイメージが強い。だが日本の大企業の行動方式はこれとは異なる。「我が社は、國立大學か公立大學、少數の有名私立大學からしか新卒を採っていない」。株式上場するある有名な大企業の人事部長の福田氏は筆者にそう語った。この會社とは長年の付き合いがあるが、社員の出身校は指を折って數えられるほどで、並の大學の卒業者が同社にホワイトカラーとして入ることはほとんどない。管理職や上層の人員は、わずかな數の大學の出身者で、その子や孫も多くは名門大學で學ぶこととなる。大企業の上層部は世襲ではないが、階層固定化の現象は広まっている。階層が固定化する中、比較的裕福な家庭に生まれた人は、進學率の高い學校に入りやすく、最後は名門大學で學び、卒業後は大企業に入って安定した職を得るというケースが多い。大企業の社員は次の世代も大企業で働き、政府の官僚の子弟は同様に官僚となる。そんな現象は今日の日本では非常に一般的である。

「中國網日本語版（チャイナネット）」　2017年4月28日

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