ニュージーランドの首相は中國の包括的及び先進的な協定(CPTPP)加入について、最低限の條件を満たせば中國の加入を認めるべきと表明した。これに先駆け、シンガポールやマレーシアなども中國の加入に歓迎を表していた。ところがCPTPPの今年の議長國であり、中心になり最終的な合意を促した日本は、最大の貿易相手國の加入に異例とも呼べる複雑な態度を示している。(筆者?張玉來南開大學日本研究院副院長)
現在まで、中國の加入に関する日本の態度は曖昧だ。菅義偉前首相と現在の岸田文雄首相、財務擔當だった麻生太郎氏と経済擔當の西村康稔氏や萩生田光一氏は、中國のCPTPP加入に関する質問に対して、中國がその高い基準を満たせるかを疑問視しお茶を濁してきた。
日本の態度が複雑なのは、まずCPTPPのデータ関連の規定が中國の加入の最初のハードルになると見ているからだ。米國のTPP離脫後、バイオ醫薬品の開発データといった関連條項が凍結されたが、日本企業が重視する電子商取引のデータ流通や知的財産権の保護といったルールは維持された。日本は中國が9月に施行した「データ安全法」を、データの自由な流動を妨げデータの監督管理を強化しうると判斷した。そのためこれはデータ流通の透明性を強調するCPTPPと矛盾するというのだ。
次に、強制労働の廃止や団體交渉権の保障といった労働関連のルールも、中國が満たしがたい基準と見ている。昨年末より、中國の新疆に「強制労働」が存在するというストーリーが西側諸國によって絶えず喧伝されている。中國外交部はこの徹頭徹尾の噓に厳重抗議しているが、日本はこれらの國際世論が中國の交渉加入を難しくすると見ている。
いわゆる「3つ目のハードル」は、國有企業への補助や政府調達方法などだ。日本は、中國が國有企業の強化を推進していると見ている。中國の政府調達も、安全保障を理由に外資系企業を排除していると見られてきた。これらが交渉の妨げになるというわけだ。
表面的に見ると、上述した理由はいずれも立派なものだが、それは本當に日本政府が中國の加入を懸念する真の理由だろうか。上智大學の川瀬剛志教授による「國際ルールを制定する舞臺において、中國は影響力と発言権の強化を目指している」という分析は、日本政府の心理そのものだろう。戦後にスムーズに築いた経済大國の地位を利用し、日本は長期的にアジア、ひいては世界で存在感を示している。今やGDPが中國に追い抜かれ、日本のこの優越感は徐々に衰退している。そこで日本は當初オバマ政権が念入りにこしらえた「脫中國」のTPP「友達の輪」から排斥されたが、その後受け入れられ、最終的には自ら音頭を取るという劇的な変化を経た。日本は中國の加入がそのCPTPPにおける主導権を弱め、國際経済の秩序を作るときの有利な地位に影響を及ぼすことを懸念している。
CPTPPの既存の11の參加國のうち、中國が最大の貿易相手國なのは8カ國。日本とシンガポールはさらに対中投資の規模が大きい。しかも中國がCPTPPに加入すれば世界のGDPに占める割合が13%から30%に上がる。経済だけを見ても、中國の加入は既存の參加國との互恵?ウィンウィンを実現する上策だ。
「経済のそろばん」からも、日本は中國の加入を大歓迎するべきだ。「日本経済新聞」は最近の記事の中で、「RCEPの経済効果はCPTPPを上回る」とした。同紙は、日本政府はRCEPが日本のGDPを約2.7%押し上げると予想しているが(CPTPPは1.11%)、これは主に日本の中國に対する関稅撤廃率が8%から86%に上がり、しかも中國が最大の輸出相手國であるからだと指摘した。しかしインドがRCEPとの間に距離を取っていることに日本が強い遺憾の意を示していることから、経済がその最大の目標でないことは明らかだ。しかもTPPがCPTPPに変化した過程において、いわゆる「高水準」も持続的に低下した。これもまた経済がCPTPPにとって最も中核的な目標でないことを証明しているようだ。さらに中國がCPTPPへの加入を申請してから1週間足らずで臺灣當局も加入を申請し、日本の態度をより複雑にさせた。
日本は中國への見方、世界を認識する態度を変える必要がある。改革に取り組み向上を続ける中國に対して、古い先進國の日本はよりおおらかな態度を持つべきだ。経済回復の原動力が乏しい國內経済を受け、日本はより開放的な姿勢で世界と融合するべきだ。これについて日本は中國を參考にできる。中國は長期的に対外開放により國內の関連改革を持続的に推進し、外により內を促すという発展のロジックを形成した。WTO加盟は中國のこの改革精神の現れだ。中國は最近さらに「デジタル経済パートナーシップ協定」への加盟を申請した。中國の持続的な開放は、日本を含むすべての経済體にとってのメリットだ。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2021年11月22日