文=國際貿易投資研究所(ITI) チーフエコノミスト 江原規由
資料寫真
今年3月開催された第12期全國人民代表大會第1回會議での記者會見で李克強國務院総理は、“市場能辦的多放給市場 社會可以做的就交給社會 政府呢?管住管好它應該管的事(市場にできることは市場に、社會にできることは社會に任せ、政府はやるべきことをしっかりやる)”と、政府と市場、社會との関係を強調しました。
11月には、中國共産黨第18期中央委員會第3次全體會議(以下、18期3中全會)が開催されますが、その主要課題は“改革開放の深化”です。その底流には、李総理のいう政府と市場、政府と社會の関係をどう処理し再構築していくのかといった黨の方針が提示されているとみられます。
<政府と市場、社會、人民との新たな関係構築に向けて>
その改革開放政策が打ち出されたのが1978年の第11期3中全會でした。改革開放政策の採用で、國家運営の軸足がそれまでの政治重視から経済優先へと移り、そのもとで中國は世界に類のない社會主義市場経済を発展させてきました。改革開放政策の発表から35年を経た第18期3中全會の主要課題となる改革開放の深化とは、社會主義と市場経済の新たな関係を構築することにあるといえるでしょう。政府と市場、政府と社會の関係深化が時代の潮流となったとの黨の姿勢が第11期3中全會で具體的に表明されるわけです。
目下、中國では、経済優先の國家運営のなかで民生の向上が最重視されています。民生向上の最終受益者は人民です。政府との関係では、市場、社會のほか、今後は人民との関係深化がますます重要になってくるでしょう。
<改革開放で深化される分野とその中身>