一、莫大な政府の債務。一般的に、経済が衰退すると、先進國の政府はGDP約5%の資金を投じて、経済を安定させようとする。その結果はというと、2008年以降、如何なる民間部門(企業?家計)のデレバレッジングも増え続ける債務を食い止めることができなくなり、政府は毎年巨額の赤字を出すこととなった。その中でも、深刻なのが、アメリカ(IMFはアメリカの2011年財政赤字はGDPの10%になると予想している)、日本(同9%)、イギリス(同8%)である。
二、低い金利。経済の衰退を食い止めるため、先進國の中央銀行はバランスシートを大幅に拡大し、新たな流動性を確保する。このような通貨政策は、金利水準を低くし、その結果、新たなバブルが生まれやすい環境を形成する。
三、アンバランスな世界の貿易と外貨準備。現在、貿易のアンバランスが深刻となっている。日本、ドイツ、中國、そして石油輸出國は大幅な貿易黒字であるのに対し、アメリカ、イギリス、スペイン、ポルトガル、ギリシャは主要な貿易赤字國となっている。このようなアンバランスの下、貿易黒字國は大量の外貨準備を保有し、赤字國家は債務を拡大させている。これにより、次なる金融危機の潛在リスクが生まれている。このようなアンバランスは、黒字國(例えば中國)と赤字國(例えばアメリカ)による為替政策の衝突を引き起こし、最終的に、貿易関係を悪化させてしまう。