思うに、日本は消費稅率の引き上げ政策を制定した時に、ドイツやフランスの教訓をくみ取るべきだった。今月22日、ドイツのメルケル首相は選挙で圧倒的な勝利を収め、3期目を務めることになった。メルケル首相がライバルに圧勝することができた主な原因の一つは、一貫して富裕層に対する増稅を否定してきたことにある。フランスの教訓はより切実なものだ。12年7月、フランス政府が富裕層に対する増稅政策を発表すると、高所得層の多くが海外に移住した。こうした現象は90年代にすでに現れており、移住した人の多くは社會的エリートで、富を海外に運び去ると同時に、フランスの産業も持ち去り、フランス政府は稅収の面でも、人材の面でも、雇用の面でも損失を出した。メルケル首相が長年にわたり富裕層への増稅を否定してきたのは、フランスの轍を踏まないようにするためだ。フランスの増稅は富裕層だけを対象にしていたため、思いもかけないマイナスの結果になったが、日本の消費稅は一律課稅であり、対象はすべての消費者だ。消費稅は一種の「逆進性の稅金」であるため、低所得層ほど実質的な負擔が大きくなり、経済へのマイナス影響が大きくなる可能性がある。消費財率引き上げにより、日本の世帯資産の分配がより不公平になる可能性もある。また日本は高齢化が深刻で、予定通りに消費稅率が引き上げられれば、日本の消費の主流となる層の消費力が大幅に抑制され、日本経済が困難な狀態に追いやられることは確実だ。日本の中央銀行は、安倍首相の來年4月に計畫通りに消費稅率を5%から8%に引き上げるとの決定を承認し、一歩進んだ通貨緩和政策の実施を検討するとしているが、経済の活性化、財政?稅金政策、通貨政策のすべてに同じような効果を上げることはできない。
日本政府が今、來年4月に消費稅率を引き上げるとしたのは、時期尚早な決定だといえる。日本國內や日本國外の経済情勢はまだ「これ以上よくなりようがないほど好調」な段階にはたどり著いておらず、日本には消費稅引き上げのしっかりした基盤がないからだ。安倍首相が意地になって稅率を引き上げれば、最終的には自ら下した決定の代償を支払わなければならなくなる。
「人民網日本語版」2013年10月12日