日本の前原誠司前外相は今年初め、外國人から「政治獻金」受け取っていたことが問題となり自ら辭任した。わずか25萬円で外相が辭任し、國民に謝罪するなどおかしな話だが、「公務員」は、日本では特殊な地位と決まりのある職業で、いい加減なことはできないのだ。私は日本での生活経験を振り返り、そういいきれる。
1992年春、初めて東京の娘を訪ねた。入國後、外國人は居住地の區役所で「外國人登録証」を申請しなければならない。私が手続きに行くと、S氏が対応してくれた。機を挾んで私と対面する形でS氏は私が書類を記入する間ずっと立ったまま、丁寧に記入の仕方を教えてくれた。
私の書類を見て私の娘がバイオリンの演奏を職業としていると知ると、彼は褒めてくれ、自分も音楽が好きでサックスを吹き、地域の音楽隊の指揮をしていると語った。彼の対応があまりによかったので、私は感謝の気持ちから、もちろんお近づきのしるしとして、私の娘の演奏會のチケットを2枚プレゼントしようとした。
すると、彼はすぐに厳しい表情になり、手を振りながら「いりません。音楽會に行くなら自分でチケットを購入しますから!」と言い、私がさらにねばると、「私たち公務員には贈り物を受け取ってはならないという決まりがあるんです」と説明してくれた。
後から知ったことだが、彼は自分でチケットを買って娘の演奏會に來てくれたそうだ。