米國、フィリピン、豪州などの國はこのほど、第76回國連総會の「海洋及び海洋法」に関する討論會で再び、フィリピンの南中國海仲裁案を取り上げた。中國から「1枚の紙くず」とされ歴史のゴミ箱に捨てられたいわゆる「仲裁裁決」を蘇らせようとした。
この米國が操作し、日本が協力し、フィリピンのアキノ3世政権が傀儡となりでっちあげた「裁決」は事実上、2016年7月12日の発表の日から終始、人々の視野から姿を消していない。また、「裁決」が時期が過ぎ誰からも顧みられなくなることを懸念する一部の國と政治家も常に存在する。
「仲裁裁決」が、米國などの域外國が南中國海において中國と地政學的な駆け引きを展開し、南中國海の領有権主張國が中國の南中國海における権利の主張に挑戦し否定し、自身の既得権益を定著させるためのツールになっていることは間違いない。「仲裁裁決」は一時的に棚上げされたが、その悪影響が徐々に蓄積され定著し、特定の狀況下で目につくようになっている。
2016年以降、南中國海のその他の紛爭當事國は絶えず、國內の立法?司法?行政の手段により「仲裁裁決」を鵜呑みにし、國內法レベルで「仲裁裁決」を承認し定著させている。ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシアなどは「仲裁裁決」を根拠とし、島礁の建設規模を拡大し、海域の管理?抑制を強化し、係爭中の海域で一方的に原油?ガスを開発するといった手段により違法な主張を既成事実化させている。さらに中國の南中國海における権利保護?法執行活動に干渉している。米國、日本、豪州などの國は「裁決」問題の喧伝で常に協力?合意している。
また一部の國際司法?仲裁機関は國際紛爭を審理する際に、「仲裁裁決」の引用を始めている。自由な裁量の名による管轄拡大、條約の解釈の名による「法官造法」(裁判官が法律を作る)の兆しが見えている。また「仲裁裁決」は中國の南中國海における「九段線」の法的効力を形骸化させ、群島全體を切斷し、海域をめぐる主張を「斷片化」させている。
南中國海情勢は現在、全體的に安定を保っているが、懸念すべき消極的な要素もある。例えば米國主導の南中國海の軍事化が始まろうとしており、「仲裁裁決」が再び取り上げられ、領有権主張國による係爭地域における一方的な行動が相次ぎ、「準則」をめぐる交渉が楽観できない。これらの一方的な作業が人為的に誇張されるかコントロールを失えば、平和で安定的な南中國海情勢の全體に深刻な悪影響を及ぼしうる。
引き続き「裁決」を例とすると、筆者が先ほど出席した第10回中米「海上問題?國際法」デュアル?トラック対話において、米國のベテラン國際法専門家は、「仲裁裁決の遵守を中國に求めるのは南中國海問題を解消するための正しい道ではない。中國の裁決への態度、その仲裁裁判所の管轄権に対する態度などはすでに、仲裁裁決の仲裁再提起を含むやり方が通用しないことを十分に示している」との見方を示した。
南中國海問題の軸となるのは一部の島礁の領土紛爭だが、領土紛爭は「國連海洋法條約」の適用範囲外だ。そのため同條約の第15部の紛爭解決メカニズムにより南中國海問題を処理するのはお門違いに他ならない。同じく「裁決」及びその「拘束力」の喧伝は、南中國海の紛爭解決の努力を間違った道に導くだけだ。(筆者?呉士存中國?東南アジア南中國海研究センター理事會主席)
「中國網日本語版(チャイナネット)」2021年12月10日