人民元の切り上げは対內直接投資、対外直接投資にどのような影響を與えるか?これまでは貿易の均衡に対する影響ばかりが議論されてきたが、対內直接投資(IFDI)、対外直接投資(OFDI)への影響を観察することも同様に重要である。IFDIは中國経済の発展にとって重要であり、OFDIも世界からの注目を集め始めている。
1990年代半ばより、中國は発展途上國の中で最大のIFDI受け入れ國となった。2009年だけでも950億ドルの直接投資を導入している。人民元の切り上げは、國外企業が世界で最も活気のある市場中國に會社を設立(あるいは拡大)するコストを高めてしまう。これはすでに中國で子會社を設立している國外企業にとって有利である。また、人民元の切り上げによる輸出コスト上昇は、輸入原材料のコスト減により埋め合わせられると見られるが、中國の総輸出額の54%を占める國外企業の子會社の國際競爭力は下落する可能性は高い。中國に子會社をもつグローバル企業は、中國市場における販売額を増加し、レートで高利潤を獲得しようと考えている。
しかし、ここ數年、最も関心を集めているのは、中國政府が2000年に中國企業の海外投資を奨勵する政策を打ち出して以降、中國のOFDIが増加していることだろう。中國のOFDIは2005年の12億ドルから2007年には27億ドルに倍増した。そして次の年には56億ドルにまで達し、2009年には570億ドル、2010年は590億ドルとなった。ここ數年、世界の海外直接投資(FDI)は縮小しているが、中國は世界にとって日増しに重要な対外投資國となっている。