麗澤大學特任教授 三潴 正道
話は8の由來に
「さっき、“中國のコースは8の倍數なんだ”って言ってたけど、なんで8なの?」
「めでたいからさ」
「あっ、日本と同じね。末広がりだからね」
「末広がりって?」
「漢字の八の字は下へ行くほど広がっているでしょ」
「それが何でめでたいの?」
「これからますます栄えるように、だからめでたいんでしょ」
「中國は違うよ。8の発音から縁起を擔いでいるんだ」
「どういうこと?」
「八の発音はbāでしょ。肺から出る空気を両方の唇でシャットして破裂させる」
「それで?」
「僕みたいな出っ歯はやりづらいから上唇と下の歯でシャットするとfāになる」
「なるほど、bāとfāってちょっと似てるのね」
「そう、ところがこのfāが大したもんなんだよ」
「偉いの?」
「そう、“發財”の“發”だ」
「“發財”ってお金持ちになることよね。お正月に“恭喜發財”って張り紙よく見る」
「その通り。天下に冠たる商業民族の中國人にとって“發”は一番大事な動詞さ」
「それでコース料理はみんな8の倍數なのね」
「だから10品のコースは正式じゃないんだよ」
「8で縁起を擔ぐのってほかにもあるの?」
「あるある、宴會の席も正式はⅠ卓8人掛けだし」
「そういえば、街で売ってる攜帯、8の數が多いほど値段が高かった」
「車のナンバーが全部8だったら100萬円はするね」
「それでわかったわ。スーパーの値段、48元とか、最後が8の値段が多いの」
「中秋節の時、ホテルで巨大な月餅を売っていたけど、888元だったよ」
「面白い!探したらまだまだありそうね」
「北京オリンピックの開會式、何月何日何時だったか知ってる?」
「まさか8月8日8時だなんて言うんじゃないでしょうね」
「そのまさかさ。それに8月8日は全國の産院が帝王切開ラッシュになる」
「えっ!そ、そこまで徹底して縁起を擔ぐの!?」
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2016年4月24日