麗澤大學特任教授 三潴 正道
「玉器で紀元前3000年ころの交流がわかるの?」
「うん、その頃中國各地で栄えた文化遺跡から玉器が発見されているんだ」
「交易をしていたってわけね」
「そういうこと。地元で玉は採れなかったからね」
「各地の文化ってどんな文化かしら」
「君、トーテムって知ってる?」
「知ってるわよ!インディアンのトーテムポール」
「中國にもトーテミズムがあったんだ」
「どうしてわかるの?」
「例えばその頃の各地の部族の名前を見ると面白いんだよ」
「トーテムと関係あるのね」
「うん。有熊氏とか有巣氏とか」
「有熊氏は熊ね。有巣氏は?」
「鳥だろうね」
「なるほど」
「中國の皇帝の象徴は竜だけど、これもトーテムの一つだったらしい」
「でも竜って実在の動物じゃないでしょ」
「うん、これには諸説あるけど、それを象ったと思われる玉器は結構あるんだ」
「ほかにどんなトーテムがあるのかしら」
「神農氏って知ってる?」
「待ってました!角の生えたおじいさん!」
「へー、何で知ってるの?」
「私の先生の家、江戸時代、代々漢方醫だったんですって」
「ふーん、それで?」
「小さい頃、床の間のある部屋に入るのが怖かったんだそうよ」
「お化けが出た?」
「茶化さないで。掛け軸がかかっていたの」
「どんな掛け軸?」
「頭の毛が真っ白で、目がギョロってしていて……」
「まだあるの?」
「牛の角が生えていて、草を食べようとしていたんですって」
「なるほど、そうだろうね」
「もうわかっちゃったの?」
「それこそ神農氏さ!」
「中國網日本語版(チャイナネット)」2018年6月14日