麗澤大學特任教授 三潴 正道
「テーブルマナーの違いってよく考えると、単純じゃないのね」
「うん、異なる文化として尊重すべき面もあるし、一方で、どこの文化だろうと改善したほうがいい面もあるわね」
「日本のマナーでも改善したほうがいいところはあるんじゃない?僕が困るのはかきこんじゃいけない、っていわれること」
「かき込むのは不作法ね」
「でもさ、テレビのコマーシャルでお茶漬けかきこんでいた」
「あれは、湯漬けでお米がばらばらになっているからしょうがないのよ」
「中國人はご飯におかずを汁ごとかけてもらって食べるのが普通なんだ」
「スプーン使ったら?」
「そういう人も結構いる。でも君、お茶漬けをスプーンで食べる?」
「お茶漬けって熱々だから、スプーンが熱くなっちゃって食べにくいのよね…」
「西洋人が日本に來てびっくりするのは、日本人が音を立ててそばを食べていること」
「來たわね。見事な逆襲」
「なぜ、音を立てるの?」
「諸説あるけど、父がこんなこと言ってた」
「どんな?」
「ズルって一息で吸い込むと、鼻から息を出す時、いいソバはぷーんと香りがするって」
「なるほど、鼻で味わう、か。鼻がばかになると味ってわからなくなるものね」
「そう。だから父は、壽司屋でタバコを吸うやつは許せない、って言ってた」
「なぜ?」
「お壽司の味って微妙なのに、煙が鼻に入ったらタバコの味しかしなくなるって」
「結論!日本人が音を立ててそばを食べるにはそれなりの理由あり!」
「中國人がかきこんで食べるのもそれなりの理由あり!ね」
「僕の友達、北京出身なんだけど、」
「どうしたの?」
「子供の時から、冬に鼻水が出たら、片方の鼻の穴を押さえて、シュンって」
「鼻水を飛ばした、でしょ。北京でよく見かけたわよ」
「で、東京に來た時、ついそれをやっちゃった。そしたら、」
「そしたら?」
「鼻汁がベターって唇にまで貼りついちゃった!」
「やだー、汚い!どうして?」
「北京はうんと寒くて乾燥しているから鼻水が水になるのさ。東京は気候が違うんだ」
「中國網日本語版(チャイナネット)」2018年12月10日