麗澤大學(xué)特任教授 三潴 正道
「“鶏鳴狗盜”は斉の孟嘗君にまつわるエピソードなんだ」
「この間の話にあった“春秋の四君”の一人ね」
「そう、その孟嘗君が秦の宮中に有った狐白裘っていう高価なコートを盜んだ話」
「狐白裘って?」
「狐の腋毛で作ったコートだよ。一體、何匹分必要なんだろうね」
「へー。でもなんで盜んだの?」
「秦の昭王の寵姫にプレゼントして命乞いをするためさ」
「うまくいったの?」
「そこで活躍したのが泥棒とニワトリの鳴きまねがうまいやつだ」
「なんでニワトリの鳴きまねなのかしら」
「追手から逃れるためだよ。一番ドリが鳴けば関所の門が開くだろ」
「なるほどね。蕓は身を助ける、ね」
「その通り。公孫鞅って聞いたことある?」
「知らないわ」
「これもこの時代の話だ。この人は春秋諸子百家の法家の代表的人物の一人なんだ」
「何をした人?」
「もともとは魏に使えていたけど、秦に行って宰相になり、秦を強國に作り上げた人だ」
「どんな蕓を持っていたの?」
「蕓じゃないけど、彼が秦の王様に採用された時のエピソードが面白い」
「どうやって採用されたのかしら」
「一回目は聖人の道を説いた。王様は退屈しちゃった」
「二回目もあるのね」
「そう、二回目は王道を説いた」
「王様は?」
「ちょっと興味を持ったけど、採用する程では、とためらった」
「殘念でした」
「いや、三回目があるんだ。今度は手っ取り早く國を富ませ、覇者になる道を説いた」
「王様は?」
「寢食を忘れて聞き入って、重く取り立てた」
「なるほど、能力主義の人事採用ね。でも最初から三回目の話をすればよかったのに」
「そこだよ。それじゃあ真価がわかってもらえない。これも周到な作戦さ」
「そうか。売り込み上手ね。まず人柄を信用してもらって、それから儲かる話をする」
「そう、今の時代の営業(yè)テクニックにもつながる話さ」
「中國人が商売上手なのが分かった気がするわ」
「中國網(wǎng)日本語版(チャイナネット)」 2016年10月15日